たこ焼き「くれおーる」加西社長 ── 料理へのこだわり変えず、今月から東京にも進出へ
京橋に出店「いちげんお断り」の会員制に
表面は1ミリほどのパリパリの薄い皮で、中が柔らかくとろとろしている。確かに冷めても美味しいたこ焼きだ。表面のパリパリ感は微妙な職人的な感覚だけに真似ができないという。評判になって売れ出すと、お客さんの1人が「ママ、こんなにおいしかったら、場所のええとこやったら、もっと売れるよ」とアドバイス。こうして大阪の京橋に3坪の店を見つけて出店。わずか5席の小さな店だった。 「冬場に店を出して、初めはぼちぼちやったけど、口コミで広がって。秋になったらブレイクしたんです。京橋の大手企業のサラリーマンのお客さんがわんさか来てくれた。でも、5席しかないんで、なんとかせなあかんということで、2号店を出した。1号店であぶれたお客さんが足を運んでくれた。ホワイトカラーのお客をメーンにしたのも、よかったんです」 だが、京橋という場所柄、サラリーマンだけでなく、いろんな客が来るようになった。「申し訳ないんやけど、気に入らん人もいてね。それで、『いちげんお断り』の会員制にしたんです(笑い)。えらそうでしょ、たこ焼き屋ですよ。でも、反発があっても、頑固というか、私は我が強いんです。それは今も貫いている」
猛勉強して串カツ提供、お好み焼きも手がける
加西社長は、初めはこの業界で頑張るとは思ってなかったというが、次第に商売が軌道に乗り出した。 「淡路にもまだ店があったし、商売は人に任せてたんやけど、人に任せると、うまくいきませんねん。ずっと訪問介護の仕事も続けてたんやけど、うちの息子に跡を継がせるのはどっちがええんやろうって考えて、たこ焼きのほうがおもしろいやろなっていうことで、介護職については廃業届を出した。二つはできませんからね」 こうしてたこ焼き一本で勝負することに。当初はたこ焼きだけだったが、「ママ、たこ焼きだけやったら、飽きるでえ」ってお客さんに言われたのがきっかけで、今度は串カツに目をつけた。 「淡路の店の界隈に居酒屋はあったけど、調べてみたら串カツ屋がなくて、串カツやったら、近所から文句もでえへんやろうって。それで、私は猛勉強しました!」 食べにも何十軒と歩き、研究を重ねて、たこ焼きと一緒に串カツも始めた。その流れで、続いてお好み焼きも手がけて、現在では、たこ焼き、串カツ、お好み焼きと、一店舗ですべて楽しめるようになっている。なかでも、道頓堀くれおーるは、界隈屈指の大型店でフロアは70坪もある。 「串カツはじゃんじゃん横丁にも食べに行った。うちの串カツは100%大豆油で、これは身体に優しい。お好み焼きの粉には、愛媛の100年以上続いているところから、玄米子を取り寄せて、5%くらい玄米子を入れているんです。すべて健康に気を使ったメニューです。1つのメニューを出す時はめちゃくちゃ勉強して出すんですよ」