映画『室井慎次 敗れざる者』を観て、“青島”を思い出したワケ。旧作ファンが歓喜した仕掛けの数々とは? 考察&評価レビュー
1997年に放送され、翌年公開の劇場版が空前の大ヒット。国民的映画シリーズと言っても過言ではない『踊る大捜査線』。最新となる映画『室井慎次 敗れざる者』が公開中だ。今回は、二部作となる本作『敗れざる者』のレビューをお届け。多角的な視点から魅力に迫る。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
スケールの大きさは、さながら日本版『スター・ウォーズ』
とある日。公開中の映画『室井慎次 敗れざる者』に出かけた。この作品はドラマ版『踊る大捜査線』(フジテレビ系・1997年)のシリーズの最新作映画である。 平成生まれの読者に説明しておくと、『踊る大捜査線』は今から27年前に放送された刑事ドラマ。織田裕二演じる青島俊作が向き合う事件解決だけではなく、警視庁も所詮は一般企業と同じ階級社会であることを描き、大人気作となった。 『踊る大捜査線』の連続ドラマは、特別編を除くとシーズン1のみしか制作されていない。が、その後、続々と作品が制作されるという、日本版の『スター・ウォーズ』のような作品である。その最新作が『室井慎次 敗れざる者』であり、『踊る大捜査線 THE MOVIE』以来、12年ぶりの事件だ。 柳葉敏郎演じる室井慎次は青島の上司にあたる、いわゆるキャリア組。現場で捜査をする青島らに共鳴して、警察組織そのものを改革しようと試みる。ただ警視庁の組織とは鉄壁の壁、室井の悲願が実ることはなかった。 室井は早期退職を選び、故郷の秋田県に戻り、事件に巻き込まれた子どもの里親となって生活していた。ある日、住まいの近くで変死体が発見され、室井はかつての事件を思い返すことになる。 と、映画鑑賞後の興奮が続いているせいか、筆が進む。これ以上書くと、盛大なネタバレになってしまうので控えよう。というのもこのレビューを書いた私こと、小林久乃も熱血ファンで、何度も青島の熱量に人生を救われて生きてきた。もちろんスピンオフ、スペシャルドラマ、映画も履修済みだ。