不登校の子供に「安心できる場所」で笑顔を 東京・練馬で支援続ける長谷部さんと吉岡さん
全国で約30万人(令和4年度)に上るとされる小中学生の不登校。学校から足が遠のく子供たちにとって、日中安心して過ごすことのできる場所は少ない。そんな現状を憂えた母親2人が昨春、不登校の子供らの居場所「石神井・小さなおうち」(練馬区)を開いた。共同代表を務めるのは、長谷部暢子さん(62)と吉岡未歩さん(44)。子供たちの心身に寄り添う支援を続けている。 ■子供の意思を尊重 都立石神井公園にほど近い住宅街に建つ民家。小づくりな木造平屋で、どこか昭和レトロな雰囲気を漂わせている。 平日午前、室内に、じゃれ合う子供たちの笑い声が響いていた。利用していたのは小学生十数人。「鬼ごっこしよう」。そんなかけ声があがると、みんなで庭に出て駆け回り始めた。 大人たちから「石神井公園に行こうか」と提案されると、あちらこちらで、うれしそうな笑顔が。 そんな様子を、ニコニコしながら見守っていた長谷部さん。「ここでは、子供たちの『こうしたい』という意思を大切にしていきたいと思っている」と話す。 ■居場所がなく孤立 3人の母親でもある長谷部さんはこれまで、都立石神井公園で遊び場を提供する「石神井プレーパーク」の代表として子供たちと関わってきた。木に大きなハンモックをつるして登れるようにしたり、秘密基地を造ったり。のびのびと過ごせる空き地などが減り、公園でもボール使用の制限など禁止事項が多くなる中で、子供たちがやってみたいと願う遊びを全力で応援してきたという。 だが、子供たちを取り巻く環境は厳しさを増していると感じている。それを物語る一つが、不登校の問題だ。遊び場の参加者の中には「ずっと学校に行けていない」という悩みを抱える親子もいる。 わが子の居場所探しに奔走し、やっと見つけた場所も、家から遠かったり、利用条件が課されたり、利用できる日が限定されていたりすることも少なくない。利用できる場所を転々としながら、日々を過ごす親子の姿があった。 ■自分たちが拠点に