「手は打つが焼け石に水…」 5年の出生者わずか2人 埼玉県内唯一の村の苦悩
村のかじを取る高野村長は、村の現状について「交通の便が悪くて、若い新住民を呼び込むのは難しい」と率直に話す。
最寄りの東武東上線小川町駅から「和紙の里」までは路線バスがあるももの、1時間に1本しかない。それにもかかわらず村内にはコンビニエンスストアもなく、生活雑貨を売る店はわずか2店。買い物は小川町などに出ざるを得ない。
村内には約300軒の空き家があるとみられ、空き家バンクを使っての移住者の呼び込みを行っているが、高野村長は「来るのは高齢者ばかりで若者は来てくれない」と頭を抱える。
ただ、座していても道は開けない。村ではUターンしてきた若者が住宅を建てるなどの際に補助金を出すことなどを検討。また、交通対策として現在行っているNPOによる〝乗り合いタクシー〟事業を強化していくことも検討している。
このほか、「新築住宅を建ててそこに20年住んでくれたらそのまま贈呈」という他の自治体で実施している施策を導入できないかなども考えているという。
ただ、高野村長は「こうした対策は根本的な解決にはならないことは分かっている」と話し、「これから人口1千人以下の自治体がどのように運営されているかを研究していく」としている。(半田泰)