中野英雄、サバンナRX-7から始まった愛車歴を語る 一世風靡時代や『愛という名のもとに』当時の知られざるエピソードとは?
『愛という名のもとに』から輸入車の世界へ
劇団の裏方仕事をこなすうち、自ら俳優を志すようになった中野さん。アルバイトしながらの下積み生活が続いたが、一本のドラマ出演をきっかけに人気俳優への道が開ける。 92年、フジテレビが放映した『愛という名のもとに』は、最高視聴率30%を超える大ヒット作となり、このドラマに鈴木保奈美、唐沢寿明、江口洋介など人気俳優とともに“チョロ”こと倉田 篤役で出演した中野さんは、一躍全国にその顔と名前を知られるようになった。 その後、次々とドラマ出演の話が舞い込み、俳優としての仕事が多忙になってきた頃、中野さんは7年ほど乗ったシティを手放し、ローバー「ミニ」に乗り換えた。ミニ・メイフェアのオートマチック。ボディカラーはシティと同じ“赤”だった。 「シティがちょこちょこ壊れるようになって。付き人、マネージャー、アルバイトと下積み時代を支えてくれたクルマだから愛着はあったけど、そろそろ買い替えかなと。ミニはコンパクトなスタイリングとクラシックな雰囲気がいいなと思っていた。じっさいに乗ると走りが楽しかったし、センターメーターに換えたりして3年ぐらい乗っていましたね」 仕事が忙しくなると、日々現場へ行き来する足として、クルマに求めることも変わっていく。ミニの後はより実用性の高いフォルクスワーゲン「ゴルフ」に、30代を迎えるとメルセデス・ベンツのステーションワゴン、124型シリーズの「300TE」に乗り換えた。 「若いころはなんとも思わなかったんだけど、徐々に芸能界的な憧れと言うか、『絶対ベンツに乗ってやる』って気持ちが湧いてきた。だからついに手に入れたって感じでしたね。でもその頃になるとトレンディドラマの仕事が取れなくなってきて、違うことをやらなきゃ……って焦りもあった。ありがたいことに、そこから『暴れん坊将軍』をレギュラーでやらせてもらうようになるんだけど、それまで経験のなかった時代劇で身についたことがたくさんありましたね」 役者としての曲がり角を経験した中野さん、いっぽう愛車選びについては、300TEの後はゲレンデヴァーゲン(メルセデス・ベンツ「Gクラス」)を乗り継ぎ、芸能人としての“王道”をまっしぐらに進んでいた……はずだったのだが、じつはこの後、思いがけない転機が待っていたのだ(後編へ続く)。
【プロフィール】中野英雄(なかのひでお)
64年12月生まれ。京都府出身。85年、『劇男一世風靡』への勧誘を契機に芸能活動を開始。92年、ドラマ『愛という名のもとに』で“チョロ”と呼ばれる真面目な青年を演じて人気を集める。その後も映画『アウトレイジ』シリーズや『首領への道』などのVシネマや、テレビ番組などに出演。幅広く現在も活躍中だ。 文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ)