2025年セ・リーグ“新人王”は誰だ!? 巨人は左腕、阪神は右腕、中日は…各球団のブレイク候補を一挙公開
代走と守備固めで65試合に出場した中日ルーキー
セ・リーグ連覇から一転して2年連続の5位に沈んだヤクルト。課題は何といっても手薄な投手陣だが、その中にあってブレイクの兆しを見せたのが、右腕の松本健吾だ。 アマチュア時代は、東海大菅生、亜細亜大、トヨタ自動車と常に強豪チームでプレーしてきた経験を持ち、2023年、ドラフト2位でヤクルトに指名された。プロ初登板、初先発となった5月15日の広島戦では、被安打3、10奪三振で無四球完封という華々しいデビューを飾っている。 プロ初登板で無四球、二桁奪三振で完封勝利をマークしたのは、日本プロ野球で史上初の快挙だ。その後に先発した2試合はいずれも試合を作れず、1年目は結局、1勝に終わったが、二軍では14試合に登板して4勝2敗、防御率2.49と安定した成績を残している。 下半身の粘り強さがあるフォームで制球力が高く、スライダー、カットボール、スプリットと複数の決め球を操れることができる。しかし、社会人1年目の秋に見せたストレートの勢いが、まだ戻っていないように見える。本来の球威を取り戻して、先発ローテーションの一角に加わりたい。 3年連続最下位からの巻き返しを図る中日では、外野手の尾田剛樹を挙げたい。育成ドラフト3位で2024年に入団。1年目のオープン戦からスピードでアピールして、開幕直前に支配下に昇格した。11打数0安打とプロ初ヒットは記録でなかったが、主に代走と守備固めで65試合に出場するなど、シーズンの大半を一軍で過ごした。 盗塁成功が4に対して、失敗が5と成功率が低く、走塁ミスが多いところは課題に残るが、脚力は、間違いなくチームでもトップクラスである。また、シーズン終了後に行われたフェニックスリーグでは、チームトップの打率をマークしたほか、アジアウインターリーグでも長打を放つなど、打撃面で成長が見られる。これはプラス要因だ。チーム事情と広い本拠地・バンテリンドームを考えても、スピードを使える外野手は必要不可欠。持ち味を生かしてレギュラー争いに加わることが期待される。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部
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