金銭管理の苦手な夫の給料を「全額」私名義の口座で管理したいと考えています。贈与税はかかるのでしょうか?
夫婦の金銭管理方法は家庭によってさまざまです。夫が金銭管理を苦手としていたり浪費癖があったりする場合、妻が夫の給料もすべて管理するケースもあるでしょう。 しかし、夫の給料をすべて管理するために妻の口座へ移動すると、税金が課される可能性もあります。課税対象にならないかよく確認しておくことが大切です。今回は、夫婦間で贈与税が課される条件や、金銭管理のコツなどについてご紹介します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
夫婦間であっても贈与税は課される可能性がある
夫婦間における金銭のやり取りは、高額だと贈与税の課税対象になる可能性があります。民法第549条では「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」とされているためです。 つまり、夫が自分のお金を渡す意思を示し、妻の口座へ入金した時点で成立します。もし税務署から贈与と判断された際、1年間で基礎控除の110万円を超える金額が妻の口座へ入金されていると課税対象です。 例えば、月収30万円の夫が給料をすべて妻の口座に毎月入金したとしましょう。なお、賞与は考慮しないものとします。毎月30万円を入金すると、1年間で360万円です。贈与と判断されると、基礎控除額である110万円を引いた250万円に対して税金が課されます。 課税金額が250万円のときの税率は15%、控除額が10万円のため、課される贈与税は27万5000円です。
贈与税が課されないケースもある
贈与税は、非課税になる項目も設けられています。国税庁によると、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は非課税です。 そのため、給料の全額ではなく、毎月必要な生活費を妻の口座に入金すれば、贈与税はかからないでしょう。ただし、入金したお金を生活費ではなく預貯金や株式購入などに使用すると、贈与と判断され指摘を受けるケースがあるため注意が必要です。 また、妻へ住むための不動産購入費を渡した場合は、通常の110万円の基礎控除に加えて2000万円までの配偶者控除が適用されます。適用される条件を国税庁の内容を基にご紹介します。 ・夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。 ・配偶者から贈与された財産が、居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること。 ・贈与を受けた都市の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。 もし居住用の不動産のためのお金をほかのことに使用すると、特例が認められず控除額が110万円のみになる可能性があります。特例の申請には財産を不動産取得に使用した証明も必要なので、特例を利用する場合はほかの財産と混ざらないように注意しましょう。