鹿児島県・奄美市笠利町の榮さんが九州局長賞 織り65年、大島紬の伝統工芸士 後継者育成へ決意新た
本場大島紬(製織部門)の伝統工芸士で奄美市笠利町用安の榮夏代さん(81)はこのほど、伝統的工芸品産業功労者表彰で九州経済産業局長・功労賞を受賞した。大島紬技術専門学院で指導員を務める榮さんは受賞を報告し、「大島紬は奄美の宝。これからも若い織り手を育て、後継者を一人でも多く送り出したい」と、担い手育成へ決意を新たにした。 伝統的な工芸品産業の振興への貢献をたたえる賞で経済産業省が84年に創設。局長賞は、榮さんを含む九州内在住の伝統工芸士5人が受賞した。 榮さんは学校卒業後、17歳で大島紬の世界に入った。姉に技術を教わり、これまで約65年間にわたり織り工として従事。92年に伝統工芸士認定を受け、13~17年には本場奄美大島紬工芸士会の役員も歴任した。地元高校では着付け体験のほか、技術継承などにも尽力。18年からは学院で後継者育成に励み、多くの卒業生を送り出している。 榮さんは「私たちの時代は学校を出たら大島紬の仕事に就くのが当たり前だった。当時は誰でもできるものと思い働いたが、学院で指導を始めてからは大変な技術を教えていると改めて気づかされた」と振り返り、「受賞は励みになる」と感謝。「今は時代も変わってきた。どんな細かな織りでも対応できる技術を伝え、楽しみながら織りが続けられる受講生を育てていきたい」と笑顔で話した。 表彰は福岡市博多区にある県合同庁舎で27日に行われた。