コンフェデ杯をBチームで制したドイツの育成センターを日本は見習えるか
ロシアで開催されていたコンフェデレーションズカップで、代表歴の少ない若手や中堅で編成された“Bチーム”で臨んでいたドイツ代表が初優勝した。 オーストラリア、チリ、カメルーン各代表と対峙したグループBを1位で突破すると、準決勝でメキシコに4‐1で圧勝。南米王者チリ代表との再戦となった現地時間2日の決勝では、前半20分にFWラース・シュティンドル(ボルシアMG)があげた先制ゴールを守り切った。 連覇がかかる来年のW杯ロシア大会の前哨戦となる今大会を、ヨアヒム・レーヴ監督は新戦力を発掘する場に設定。招集した23人のうち昨夏のユーロ2016代表は7人、4度目の世界一に輝いた前回ブラジル大会代表に至っては3人しか名前を連ねていない。 それでも各大陸王者を制して頂点に立ち、23歳のMFユリアン・ドラクスラー(パリSG)がMVPを獲得。28歳のシュティンドル、21歳のFWティモ・ヴェルナー(ライプツィヒ)、22歳のMFレオン・ゴレツカ(シャルケ)のドイツ勢が3得点でトップに並び、アシスト数が多いヴェルナーが規定により得点王に輝いた。 ポーランドで6月30日まで開催されていた、U‐21ヨーロッパ選手権でも若きドイツ代表が優勝。今回のコンフェデは“免除”となった31歳のGKマヌエル・ノイアー、28歳のFWトーマス・ミュラー(ともにバイエルン・ミュンヘン)、27歳のメスト・エジル(アーセナル)らに続く世代も順調に育っている。 なぜドイツから続々とタレントが生まれるのか。ターニングポイントはユーロ2000。グループリーグの最下位で姿を消す惨敗に、ドイツサッカー協会(DFB)のフランツ・ベッケンバウアー副会長(当時)は「このままではドイツは世界のトップから取り残される」と未曽有の危機を訴えた。 ドイツサッカー界の英知が結集され、弾き出された答えはA代表の徹底強化ではなかった。ピラミッドの底辺となる逸材の発掘・育成システムにメスを入れ、抜本的に変えることが長い目で見ればドイツ代表の強化になると意見が一致した。 まずはドイツ全土に「シュトゥッツプンクト」と呼ばれる育成センターを設置。日本よりわずかに面積が小さい国内の計366ヶ所に拠点を設け、地域の子どもたちを隈なくピックアップ。DFBから各地へ派遣される指導員のもとで、個人スキルを徹底的に伸ばす練習を課した。 もっとも、指導員の仕事はそれだけにとどまらない。練習の過程で逸材を見出して、「シュトゥッツプンクト」の上に位置する、約20からなる「地域選抜」へと推薦する。 この「地域選抜」でさらなる可能性を示した子どもたちは「エリート」に選抜され、15歳以下から21歳以下まで、1歳区切りで編成される年代別のドイツ代表に名前を連ねる。そして、DFBから「エリート」に認定された金の卵をプロへと育て上げる最後の仕事が、ブンデスリーガの各クラブに委ねられる。