立民と国民民主、基本政策協議で合意も進展みられず 原発・安全保障・憲法で隔たり大きく
立憲民主、国民民主両党の基本政策協議が進んでいない。衆院選で148議席を獲得した立民は主要な常任委員長ポストを得て28日召集予定の臨時国会に備える一方、国民民主は「103万円の壁」引き上げなどに向けて自民、公明両党との協議を重ね、20日には3党合意に至った。これに対し、立民と国民の協議は合意から2週間たったが、進展がない状態にとどまっている。 【表でみる】控除額を178万円に引き上げた場合の年収別減税額 ■優先は自公両党との協議 立民の野田佳彦、国民民主の玉木雄一郎両代表が国会内で会談し、基本政策協議で合意したのは5日。野田氏は来夏の参院選に向けた「キックオフ」と位置付け、協議を通じて選挙協力につなげる狙いがあった。 だが、国民民主が優先したのは立民との協議ではなく、自民、公明両党との協議だった。これまで自公との間で5回の交渉を積み重ね、20日には自公国の政策責任者が会談。石破茂政権が22日に閣議決定する経済対策に年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」引き上げを盛り込むことで一致した。 「国民の暮らしが良くなる好循環経済にする。そのための取り組みが今回の経済対策だ」。国民民主の浜口誠政調会長は会談後、記者団に対し、政策実現という「果実」をもぎ取ったことに胸を張った。 そもそも民主党を源流とする立民と国民民主は4年前、合流に向けた協議で基本政策を巡り激突し、決裂した経緯がある。衆院選公約でも両党の違いが色濃く、仮に協議がスタートしても壁が立ちはだかる。 ■エネは4年前の交渉でも難航 4年前の交渉でも難航したのがエネルギー政策だった。国民民主は原発再稼働を含む現実的な政策を掲げたが、立民は「原発ゼロ」を譲らなかった。衆院選公約で立民は党綱領にある「原発ゼロ」という文言をあえて盛り込まなかったが、「新増設」を掲げた国民民主との開きは大きい。 集団的自衛権の限定的行使を認める安全保障関連法でも立民は「違憲部分がある」との主張を曲げない一方、国民民主は同法を違憲とは見なしていない。憲法についても「論憲」の立民と「改憲」の国民民主ではスタンスは違う。 「立民には定まった基本政策を全ての国会議員に共有してもらわないと、これは交渉にならないね」。国民民主の榛葉賀津也幹事長は15日の記者会見で、こう突き放し、まずは立民内での基本政策のすり合わせを促した。(深津響)