JIGDRESSツアー「Don’t believe the hype」 対バン4人が集結「観て判断してとかじゃなくて、絶対にいいから来て」
――逆に3人から見て山崎さんとかJIGDRESSってどういう存在なんですか? 二口 尖りのプロ、みたいな。対バンさせてもらったりすると、楽屋では楽しいじゃないですか。でもいざライブやると、なんか「怒ってんのかな?」みたいな。 山崎 (笑)。 二口 でもそれでハッとするというか、ちゃんとやろうみたいなふうになる。そのために都度いいタイミングでやらせてもらってる感覚が個人的にはあるんです。 仲川 尖りのプロっていうのは、ちょっとそうかもなというのはありますね。いわゆる尖ってる人って感じではないんです。全方位に威嚇して棘をずっと見せ続けるタイプの人ではないんだけど、人当たりのいい人に起こりがちな、周りの空気に飲まれるとか、そういうこともマジで一切ない。自分の音楽、ライブは絶対に守った上で人と接することができるって、これは俺、なかなかできないことだなと思うんですよ。そういう、音楽に関わる領域すべてをめちゃめちゃ大事にできる人だとは思ってますね。それがずっと念頭にあるからブレないでいられるタイプの人なのかなって。 北 僕はめっちゃ尖りを感じるというよりは、ツーマンをやって音で殴り合ってきて、お互いに「そこってどうなってんの?」みたいな、わりと音楽的な対話が多かったんです。そういうなかで思ったのは、JIGDRESSって一人ひとりのキャラクターが強いので、それだけでも充分バンドとしての魅力があるんですけど、そこだけじゃなくて、ちゃんと音に向き合ってる感じがするなって。そこが尖っているということなのかもしれないですけど、その一貫性みたいなのにシンパシーを感じますし、真摯だなって感じてますね。 ――4バンドとも音楽的にはそれぞれやろうとしてることがあると思うんですけど、今話に出た尖っている部分はどのバンドにもある気がしますね。 山崎 うん。これは全員に思うんですけど……「好きなことやってる」って言ったら簡単な話なんですけど、聴いてくれてる人が求めてるものを作ってるんじゃなくて、好きなものを作って出してるから「みんな聴いてくれよ、ライブ来いよ」って言える。そこがこの3人は美しいなと思ってて。めっちゃよかった曲のパート2を作って「お前らこれ好きだよね」みたいなのって客に対して全く真摯ではないじゃないですか。みんなそうじゃなく、少しずつお客さんを裏切っていくようなイメージがあるんですよね。そこが好きです。 ――さっきから「尖ってる」っていう言葉が出てますけど、みなさん存在としては尖ってるのかもしれないけど、出てくる音楽とか表現とか、そういう意味では人を刺すようなものではないと思うんです。JIGDRESSのニューアルバムもまさにそうだなと思いました。すごい優しさみたいなものを感じた。 仲川 俺は「これがJIGDRESSだぜ」って言われてるようなアルバムだと思いました。僕らは前のバンドの頃からの付き合いで、JIGDRESSで前の曲もやってたりするから、延長線上にあるような気分もたまにするんですけど、今回のアルバムでもうマジで違うんだなって思ったというか。まずスケールが確実に上がったし、優しいみたいな印象を俺も受けたんですけど、あの頃よりもっと全方位にアプローチできるようになっているのかなって。 ――当然前とは違うし、しかもJIGDRESSを組んでから出してきた音源とも印象が違いますよね。 山崎 ああ、そうですね。理由は明確にあって、今回作るにあたっていろいろ聴くなかでKillswitchっていうヒップホップに出会ったんです。好きなことしかやらないでアルバム1枚完成していて、でも一貫性もあって。「これでいいんだ」と思ったのが今回はかなりデカかった。全然曲調は違うんですけど、すごいなって。「好きなことをやる」って単純に散らかっちゃうイメージだけど、こんなに背骨があるアルバムになるんだって気づいて、今回そういうふうに作ったんですよ。それが伝わってるなら嬉しい。 ――二口さんはアルバムを聴いてどう感じましたか? 二口 大樹さんは結構前から音楽をやってきて、JIGDRESSに変わって。そういうタイミングって、結構やめちゃう人とかもいるじゃないですか。でもいい意味で「まだやるんだ」っていう。1回折れてももうやり続ける人の渋みみたいなのは結構感じました。 山崎 そう思う。(北に)続けるのがいちばんかっこいいもんな? 北 (笑)。 山崎 続けるのがいちばん難しいことで、いちばん偉いって言い方はアレだけど、かっこいいことだと思います。