辛酸なめ子さんのイラストレポート!心を掴まれたフランス映画3選。激しい女たちが、人生を生き切る映画
生をまっとうしようとし、忖度なし。主人公たちの自己主張や感情表現の激しさには圧倒されます。自分に正直な彼女たちに辛酸なめ子さんが心を掴まれた3本。 【画像一覧を見る】
cinema1/『アデルの恋の物語』 『レ・ミゼラブル』等で有名、国民的英雄でもあった文豪ユーゴーの次女、アデルを当時19歳のイザベル・アジャーニが演じた。「空気を読み、相手に気をつかいすぎる日本人とは真逆の行動。エスカレートしてしまって自らも滅ぼしますが映画だからこそ極端を垣間見られます」。1975年製作。
cinema2/『ベネデッタ』 実在した修道女が同性愛の罪で告発された裁判記録を題材とし、ポール・ヴァーホーベン監督がセクシャル・サスペンスとして仕立てた。聖と性のテーマがからまる壮大なエンタテイメントは「激しすぎでどこかくすっとできる救いもある映画」。フランス、オランダ、ベルギー合作。2021年製作。
cinema3/『地下室のヘンな穴』 夫婦が引越した家の地下室の穴は微妙なパワーをもっていた。穴に魅せられた妻がだんだん常軌を逸していくという皮肉の混じった現代の寓話。「自分中心、徹底的にやりたいことをやる女性の行動は心に残ります。見習うのではないけど、心のままに生きること自体には憧れが」。2022年製作。
すすめてくれた人
辛酸なめ子/しんさんなめこ イラストレーター・コラムニスト。独特の視点によるイラストが広く支持を集める。フランス映画と出会ったのは90年代のフレンチ・ロリータブームの頃。ファムファタルに憧れてフランス映画をむさぼり観た。
『クウネル』2024年9月号掲載 取材・文/船山直子、原 千香子 イラスト/辛酸なめ子
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