第１部と第２部のそれぞれトリを務めた坂本（左）と宇野（右）。写真：田中研治（THE DIGEST写真部）

　今シーズンを沸かせた豪華スケーターたちが、夢の共演を果たした。 　４月５日、神奈川県・横浜アリーナで『スターズ・オン・アイス』の横浜公演（７日まで）が幕を開けた。56年ぶりの世界選手権３連覇を飾った坂本花織をはじめ、同大会４位の宇野昌磨や世界ジュニア女王の島田麻央など、国内トップスケーターが集結。さらに、”４回転の神”と称されるイリア・マリニン（アメリカ）ら世界選手権の全カテゴリー金メダリストが勢揃いした。 【世界フィギュア PHOTO】モントリオールで渾身の演技を披露した宇野昌磨の厳選フォト！ 　先陣を切ったのは、今季シニアデビューを飾った18歳の吉田陽菜。初出場した先月の世界選手権ではフリーでトリプルアクセルを決めるなど、存在感を大いに発揮した。４月から同志社大学に通う大学生は、ショートで演じた『Koo Koo Fun』で氷上に笑顔を振りまきながら舞った。 　他にも、屈指のエンターテイナーである友野一希や平昌五輪４位の宮原知子、中学２年生になったばかりの上園恋奈などが会場を盛り上げ、第１部を締めくくったのは２度の世界王者に君臨した宇野。愚直に自らのスケートを探求する前世界王者は、今シーズンのエキシビションナンバーである『Come Together』を披露。ロックな曲調を体全体で表現し、激しいスピンとステップで魅了した。 　本公演のスペシャル企画であるトークショーでは、令和の新世代を代表して千葉百音、吉田、島田、上園の女性スケーター４人が登場。大学生、高校生、中学生と全員が『学生』ということもあり、学業や好きな食べ物、趣味など幅広い話題でトークを展開。「パリパリの春巻きが好き。食べられる機会があると、すごくテンションが上がる（千葉）」「寒がりなんですけど、アイスやかき氷を食べるのが好き。今日終わったら、中華街に行こうかな（吉田）」「可愛い食器を集めて、それに盛り付けるのが好き（島田）」「韓国風のメイクに、はまっている（上薗）」など、話に花が咲いた。 　 　第２部はルナ・ヘンドリックス（ベルギー）、ペアのディアナ・ステラート＝デュデク＆マキシム・デシャン（カナダ）組、アイスダンスのマディソン・チョック＆エバン・ベイツ（アメリカ）組など、海外の超一流スケーターの妙技が会場を沸かした。特に、初の世界王者となったマリニンは冒頭から４回転ジャンプを披露。唯一無二の武器である４回転アクセルはやらなかったが、今季のショート『マラゲーニャ』で日本のファンを盛り上げた。 　大トリを務めたのは、世界女王の座を３年連続で防衛した坂本。無敵の女王はダブルアクセル、３回転ルッツを跳び、なめらかなステップに加えて優雅なスケーティングで世界観に引き込む。圧巻の滑りに、演技後は大きな拍手に包まれた。 　日本人によるグループナンバー、Mrs.GREENAPPLEの『ケセラセラ』も披露されるなど、約２時間の公演はあっという間に終了。真剣勝負の競技会とは違う、各スケーターの氷上での表情に観衆は酔いしれた。 取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）