世界的仕掛け人が明言。村田諒太が今冬東京ドームでゴロフキンと夢対決構想
ボクシングのWBA世界ミドル級王者、村田諒太(32、帝拳)と同級6位、エマヌエーレ・ブランダムラ(38、イタリア)の初防衛戦並びにWBC世界フライ級王者、比嘉大吾(22、白井・具志堅)と同級2位、クリストファー・ロサレス(23、ニカラグア)の3度目の防衛戦(15日・横浜アリーナ)の調印式、記者会見が13日、都内・九段下のホテル・グランドパレスで行われた。村田をプロモートするトップランク社の世界的なプロモーターのボブ・アラム氏も来日。この初防衛戦をスッキリと成功させれば、V2戦は、ラスベガスのMGMグランドでロンドン五輪の決勝で対戦したエスキバ・ファルカン(28、ブラジル)と戦い、それも乗り越えれば、ミドル級の3団体統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(36、カザフスタン)と今冬にも東京ドームで対戦する“ビッグファイト“を計画している考えを明らかにした。今回の試合は、王座を奪取したアッサン・エンダム戦に続き、米スポーツ専門チャンネルのESPNで全米に生中継される。村田は、東京ドーム決戦実現のためにも、V1戦で世界へアピールしなければならなくなった。
調印式で、挑戦者が選んだ10オンスの試合用グローブは、赤色のイタリア製「レオーネ」だった。イタリア語で、ライオンを意味するグローブ。ブランダムラは、「今、試してみて使い心地が良さそうでしっくりときた。それがイタリアのレオーネだったってことだ」と選択理由を説明した。母国の使い慣れたグローブだ。 一方の王者の村田は、タイトルを獲得した前回に続き、黒色のアメリカ製「エバーラスト」。モハメッド・アリが、愛したメーカーで、日本製の「ウイニング」と、メキシコ製の「レイジェス」のちょうど間くらいの拳部分の薄さで、手首部分はしっかりと固定され、村田自身が気にいっているものだ。 試合用グローブはチェック後に不正が行われないように厳重に封印されるが、その前に相手側が選んだグローブをチェックできることになっている。村田もその赤いグローブを念入りに調べていた。 近年は、世界的にスポンサーの絡みなどもあり、王者側が許可すれば、それぞれが自由なグローブを選択できるようになっている。 村田は「前回も(それぞれが)違うグローブでした。僕が使うのも、(拳部分が)薄い方でもなく、(イタリア製のレオーネも)似通ったイメージです。僕との間くらい(の薄さ)ですかね」と、それほど気にした様子ではなかった。 だが、日本で馴染みの薄い「レオーネ」は、メキシコ製の「レイジェス」と同じくらい拳の部分が薄く作られており、しかも「皮が硬い」という特徴がある。ダメージを受けやすいのと同時に、もしクリーンヒットされれば、腫れやすく、カットしやすい、という不安要素を持つ“危険なグローブ”でもある。 両者の力が五分なら村田にとっては嫌なグローブの選択となる。 しかし、ブランダムラは、村田にとって危険な相手ではない。フットワークと消耗戦を粘り切るスタミナもあるが、ミドルクラスの割には、一撃必殺のパンチはない。4年前にはEBU欧州ミドル級王座決定戦で、現WBO世界同級王者ビリー・ジョー・サンダース(英国)の右フック一発に戦意を喪失してTKO負けしている。 ブランダムラは、この日の会見で「村田が、音楽を一曲かけてくれる。それに合わせて踊りたいと思う」と語った。キャッチフレーズは、「カメレオンボクサー」。相手に合わせてファイトスタイルを変えることから来ている。おそらくガードを崩さずアップライト気味に守備的に戦うのだろうが自分から仕掛ける力はない。 村田が“かける曲”は決まっている。 「僕のスタイルは、前に出てプレッシャーをかけ、相手がイヤになるほど打つ。それだけ」 挑戦者は、ボディも弱そうで、世界王者になって自信を深めた村田がプレッシャーをかけながら、うまく対角線にパンチを散らせば、とても逃げ切れない。遅かれ早かれKO決着となるだろう。 むしろ敵は我にありーだ。 村田は初防衛戦のプレッシャーがあるか?と聞かれ「こういう質問をされるから感じる、って感じで、普段から意識はしていない。明後日どういう心境でリングに上がれるか。楽しみであり、少しの恐怖もある」とうまく返した。そして「世界へアピールするような試合にしたい。やることはわかっているのでベストを尽くす」と続けた。彼は油断するタイプではないが、アピールに意識が向かい“力む”可能性はある。