世界的仕掛け人が明言。村田諒太が今冬東京ドームでゴロフキンと夢対決構想
米スポーツ専門チャンネルのESPNとの放映契約を結んでいるトップランク社のボブ・アラム氏は、会見の冒頭で、この試合が、ESPNでライブ中継され、それが米国東海岸時間の午前8時からの早朝放映となるため、夜に、もう一度、再放送されるほど、注目を集めている一戦であることを明らかにした。 5月5日に予定されていたゴロフキンと、サウル“カネロ”アルバレス(27、メキシコ)の頂上決戦の再戦は、アルバレスに禁止薬物の陽性反応が出たことで中止となったが、その際、米メディアは、ゴロフキンの対戦候補の一人として村田の名前を出した。この階級でより存在感を示すには、この試合での勝ち方が問われることになる。 アラム氏は、さらに今後の村田の路線について具体的なプランを口にした。 次戦は、ラスベガスのMGMグランドで、ロンドン五輪のミドル級決勝で村田に僅差で敗れ、その後、プロ転向、現在20連勝(14KO)しているファルカンとの“五輪因縁対決”を行い、そして、その試合に勝てば、12月にも、村田対ゴロフキン戦を東京ドームで開催したいと“仕掛け人”が明言したのだ。 「これはプロモーター暦50年の私の個人的な夢で、まだ誰とも合意をした話ではないが、ゴロフキンと村田を東京ドームで戦わせたい。実現すれば史上最大の試合となる。ゴロフキンのマネージャーと私は、良好な関係が続いている。ゴロフキンの来日を説得できると考えている。遅くとも今冬にはやりたい」 もし、この5月にゴロフキン対アルバレス戦が実現していれば、ゴロフキンが勝つことが東京ドーム決戦実現の条件だった。目が飛び出るビッグマネーを稼ぐアルバレスが勝った場合には、来日させることは困難だったが、そこまでファイトマネーの相場の高くないゴロフキンならば、アラム氏が語るように東京ドーム決戦の可能性は十分にあるのだ。今後、アルバレスに出場停止処分が下されれば、流れたゴロフキン対アルバレス戦が年内に再実現する可能性は薄く村田がゴロフキンに挑むチャンスは残されることになる。 東京ドーム決戦は村田の描く目標でもある。 村田は、以前、こんな話をしていた。 「英国で、今ボクシングが大ブームです。8万人、9万人の会場が満員になります。やはり国内のボクシング界全体を盛り上げるには、国内でビッグイベントをやる必要があると思うんですよ。日本人だけに限らず、人って国内の出来事に大きな関心を持ちますよね。東京ドームで、ボクシングで5万人を超える観客動員を実現できれば、そこから新しい風を吹かすことができるのかもしれません」 日本のボクシング界活性化のために新しい風をーー。それが村田が東京ドームにこだわる理由だ。 過去に東京ドームでボクシング興行は2度行われている。いずれもマイク・タイソンの世界戦。1988年の対トニー・タッブスのヘビー級統一戦、もう1試合は、1990年の対ジェームス“バスター”ダグラス戦。この試合では、タイソンがKOで敗れ、東京発のショッキングなニュースが「世紀の番狂わせ」として世界中を駆け巡った。しかも、この2試合をプロモートしたのが、帝拳の本田明彦会長である。 そう考えると、さらに東京ドーム決戦が現実味を増していくのだが、V1戦は気負うことなく周囲が、その夢プランを前へ推し進めたくなるような試合内容でなければならないだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)