ウーバーイーツ配達員が配達中に試される「アドリブ能力」【チャリンコ爆走配達日誌】
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第79回 ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります! * * * 配達中に起こったほっこりすることやトラブルなどの出来事、そして組合のことなど、愚痴を交えつついろいろと書いていますが、今回は突発的に起こる、自力で解決しなければならない案件をいくつか紹介します。 夜の配達中に起こることがあるのがタイヤのパンク。昼間と違い視界が悪いことから、路上にある何かを踏んでしまって空気が抜け、車体がガタガタッとなるトラブルは、これまで2回ほど経験しました。 自分の自転車を使われている方で、後ろの荷台にリュックを固定している方はパンクによる揺れで汁物がこぼれてしまう可能性が高いため、やってしまうと大変なトラブルです。また、パンクした自転車を押しながら配達先まで行かなければならないので、リュックに商品を入れた状態でのパンクは大きなダメージとなります。 ですが、私はレンタルの自転車を使っているため、配達中にパンクした場合は注文者にメールで遅れる旨を連絡。その後、自転車を近くの貸し出し場所に返却。レンタル自転車の運営に車体番号とパンクしたことを伝え、別の自転車を借り直せばOK。 バッテリーの残量を見ながら1日に4、5台の電動アシスト自転車を乗り継いでいるため、後部にリュックを固定せず、背中に背負って使っています。そのためパンク直後のガタガタッという衝撃がリュックの中の商品にストレートに伝わることがありません。 パンクによるトラブルよりも対応が大変なのは強風。私がよく配達で行く東京の湾岸エリアは海風にビル風がプラスされたようなとんでもない強さの風が吹き付けることがたまにあります。先ほど書いたように私は巨大なリュックを背負って配達することが多いのですが、横風の強風の場合、このリュックに風が思いっきり当たり、自転車が左右に思いっきり流されます。 横風の強い日、高速道路を自動車で走っていると車体が流されることがありますが、あの流され方とは比較にならないほど、体と自転車が持っていかれます。また、正面から強風を受けた時は、電動アシスト自転車のアシスト力を「強」に設定して思いっきりペダルを踏み込んでいるのに、ペダルがまったく動かず、前に進めないこともあります。 配達中に強風であおられた場合、まずやるのはリュックが飛ばされないよう、肩ひもをしっかり握ること。横風の場合は、橋の手すりにつかまりながらゆっくり渡り切って、風除けのある場所まで進むこと。向かい風の場合は前に進むのを諦めて、一旦後方にある風除けのある場所まで引き下がること。そして風除けの場所に着いたところで注文者に連絡をします。 安全なところまで移動するのに時間かがかかることや、向かい風の場合、逆方向へ行くことになるので、GPSを使って配達員の位置を確認する注文者の方から時間稼ぎをしていると思われ、BADの評価をつけられることもありますが、最近は「ま、仕方ないか。これまで運営に『あのBAD評価はおかしい』と伝えても『評価は変えられません』の一点張りだし」ぐらいの感じで評価を受け入れています。