「ちょっとやりすぎた」「常に速い選手はいる」「上げ幅が足りない」【SF Mix Voices 第4戦予選(2)】
7月20日、『第1回瑶子女王杯全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦富士大会』の公式予選が静岡県の富士スピードウェイで行われ、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が3年ぶり2回目となるポールポジションを獲得した。 予選でトップから2秒差を切ったJuju「自分自身も成長を感じている。今季一番楽しかった予選でした」 ここでは予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちがフリー走行と予選について語った内容を2回に分けてお届けする。前編はこちらから ■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選6番手 朝のフリー走行でトップタイムを記録した牧野は午後の予選を振り返り、Q2に向けて行った調整について「やりすぎた」と悔やんだ。 Q1A組で2番手につけた牧野だったが、同セッションで唯一1分22秒台に入れて首位となった岩佐歩夢(TEAM MUGEN)とのタイム差を見て、攻めの手を打つことに。しかし、それがうまくハマらなかったようだ。 「Q1の岩佐君とのタイム差がけっこうあったので、そこをちょっと求めに行った結果『反対だったかな』『ちょっとやりすぎたな』というのが正直あります」と牧野は語った。 「どれぐらいやるかというのをかなり悩んだのですが、だいぶ攻めにいった結果なので仕方ないといえば仕方ないのですけど、悔しいQ2になったかなと思います」 牧野によれば、この攻めの変更の結果、稼げる部分を減らしてしまったという。「セクター1、2が速くて、セクター3をもうちょっとうまく走りたいところでしたが正直、フィーリングとタイムが合わないというか、そこまで負けてる感じではないなかで、逆にその分セクター2で稼げる分は稼げていたと思います」 「予選に関してはQ2に向けてやったことで稼ぎ代がやや減ってしまったというか、もっとそこで稼がないといけなかったのですが……」 決勝に向けては「3列目なのでまだチャンスは全然あると思う」と述べ、「展開はいろいろとあると思うので、うまく戦えたらなと思います」と意気込みを語った。 ■阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 予選12番手 阪口の予選Q2はタイムアタック完了を目前に突然終わりを迎えた。メインストレート上でマシントラブルに見舞われたのだ。 「最終コーナーの立ち上がりで駆動か、ギヤか、みたいなところで(駆動力を)失ってしまいました」と阪口。「回転だけパンパンと上がっちゃって、言ってみればニュートラルみたいな感じになり、アタックできませんでした」 原因は現在調査中。トラブルなくいけば4列目あたりが狙えるペースで周っていたという。 「もちろん、(きちんとアタック)してたからといってトップではないですけど、タイム推移を見たら7番手、8番手くらいというところだったので、すごく残念です。全然前兆もなかったので」 「朝は朝で別のトラブル(パワーステアリングに問題発生)で走れていなかったし、ちょっとパフォーマンス出しきれない日になってしまいました」 明日の決勝は中団の12番グリッドからのスタートになるが、「富士はまだ抜きやすいほうではあると思うので頑張りたいです」と努めて前向きな姿勢を見せていた。 ■山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING) 予選9番手 7月上旬のテストでは総合タイムで5位につけ、後半戦の巻き返しが狙える位置につけた山本。この日朝のフリー走行でも、序盤のアウティングでトップタイムを記録し、上々な滑り出しを見せた。 「朝イチで走ったときには、コンディション的には(テストと)一緒ではないなと思いましたけど、陽が照ってからは比較的近かった感じはします」と山本。 「テストの最後のセッション4では、最後にアタックした組のなかでは一番速かったタイムだと記憶していますし、今日の走り始めはユーズドも何人かいたと思いますが、大半が新品タイヤで最初のアタックをしたなかでトップタイムが出せていたので、結構調子いいなと思っていました」 好調な走り出しとはなったが、「そこから先、みんなが上げてきたところで、自分が上げきれなかった」とその後の推移については予想どおりの一日とはいかなかったようだ。 ベースとなるポテンシャルは感じつつも、それを安定して出せないというところに、山本は難しさを感じている様子。 「調子とかクルマとかドライバーというよりは、コンディションなのか、履いてるタイヤなのか、それによってタイムがバーンと出るときと、なぜか出ないときで結構波があって難しくて……。調子は悪くないのですが、いいときと悪いときの差がちょっとあるのは、自分でも感じています」 予選ではQ2へと進出を果たすが、僅差のポールポジション争いに加わることはできず。テストや午前中の好調なタイミングからの“波”がなぜ生じてしまったのか、そこは現在の分析課題でもあるようだ。 「最後も富士での(トップから)コンマ4秒差はちょっと大きいですけど、根本的にベースのクルマがダメかというとそんんな話ではなく……なんでそこから大きくこぼれちゃうんだろうな、というのはSFの難しいところなのかもしれません」と山本。 「ただ、常に速い選手はいるので、あまりモノやコンディションのせいにもできませんから、そこから外れないようなクルマや運転の仕方を身につけないといけないのかな、と。明日は真ん中からのスタートになってしまいますが、いいレースをしたいと思っています」 ■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選11番手 予選11番手と、今季最上位グリッドを獲得した笹原は、「(フリー走行では)比較的クルマが暴れてはいたのですが、自分が暴れさせてしまっている部分があって、そこはデータ見てもドライビングを修正できる部分でした。ただ、『そこまで行けるようになってきた』という感覚はあって、ポジティブでしたね」と朝の走行での手応えを語る。勢いそのままに、ほとんどセットアップは変えずに予選へと挑んだという。 アウトラップ翌周にアタックという、他の多くの陣営とは異なる戦略を選んだQ1・Aグループでは、1分23秒392をマークし、5番手でQ2進出を果たした。 「コンディションが思ったよりも上がっていました」とQ1を振り返る笹原。 Q2に向けては「何をどうしようかと悩んでいたのですが、最終的には考えるのをやめてそのまま行きました」という笹原だったが、結果的には“上げ幅”が得られず、首位からコンマ8秒近い大差をつけられることとなってしまった。 「セクター3では自分がオーバープッシュして失敗した部分もありましたが、それがなかったとしても、ポジションは変わらなかったと思います。Q2や、コンディションが良くなったときに対して、上げ幅がちょっと足りていないなというのが課題です」と笹原。朝の走行で好調だったことと、“課題”が明確になったことに対しては、ポジティブな手応えを得られたようだ。 [オートスポーツweb 2024年07月21日]