【加部究のフットボール見聞録】久保建英はA代表に相応しいのか
コパ・アメリカの招集には疑問符が
急成長しているFC東京の久保は、U-20ワールドカップで選外。6月のコパ・アメリカに招集された。(C)SOCCER DIGEST
スポーツ新聞の新米記者時代の話だ。水泳の日本選手権に取材に出かけた。まだ野球が独走した時代で、会場は閑散としていた。レース後に優勝者を囲むのも、せいぜい数人程度である。そんな状況で100メートル背泳ぎを制した17歳が、質問した僕に「おたく、どこの社ですか」と聞き返してきた。随分と図太い高校生に、逆に頼もしさを感じた。 やがて成長した彼は、1988年ソウル五輪の同種目で決勝に進出する。ただし、トップ通過のデヴィッド・バーコフは予選で自己の持つ世界記録を更新していた。バーコフを倒すには、相手の動揺を誘う必要があった。間抜けなアナウンサーがテレビカメラの前でマイクを向けた。 「何か秘策は?」 間髪を入れずに彼は答えた。 「内緒……」 相変わらずの図太さを再確認し、彼ならやれるかもしれないと思った。そして決勝ではバサロキックで進む
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