「2024年問題」の影響、「マイナス」が55.3% 「利益率低下」、「労務管理」の負担が上昇
Q1. 2024年4月1日以降、自動車運転業務(トラックドライバーなど)や建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。こうした「2024年問題」は、貴社の経営に影響していますか?
◇「マイナス」影響が5割超 「2024年問題」について、「マイナス」の影響と回答した企業は55.3%(5,099社中、2,823社)で、半数を超えた。内訳は、「大いにマイナス」が13.9%(713社)、「どちらかというとマイナス」が41.3%(2,110社)だった。 規模別では、「マイナス」が、大企業62.9%(前回68.0%)、中小企業54.4%(同60.9%)といずれも前回から改善した。大企業が中小企業を8.5ポイント(同7.1ポイント)上回り、大企業ほど「マイナス」影響が大きい。
【産業別】「マイナス」回答 トップは卸売業の65.8%
産業別で、「マイナス」と回答したトップは、卸売業の65.8%(1,164社中、767社)だった。各産業を繋ぎ、円滑な流通システムの構築を担う卸売業は、配送コスト上昇への対応や納品スケジュールの見直しを懸念する声が多い。 次いで、建設業64.1%(703社中、451社)、製造業60.7%(1,485社中、902社)、運輸業60.4%(210社中、127社)が続いた。 10産業のうち、「マイナス」が半数を超えたのは6産業(前回同数)だった。 一方、「マイナス」の構成比を前回調査と比較すると、農・林・漁・鉱業を除く9産業で低下した。規制適用前の前回は、影響が不透明なこともあり「マイナス」影響を危惧する企業が多かったが、適用後は影響が見えてきたことで不安感が薄れた企業が多いようだ。 運輸業は、前回調査で「マイナス」回答率が7割以上(構成比72.7%)に達していたが、今回調査では12.2ポイント低下し、金融・保険業に次ぐ低下幅となった。荷主や元請業者との交渉や社内体制が整い始めた可能性がある。
【業種別】マイナス影響は「パルプ・紙・紙加工品製造業」がトップ
産業を細分化した業種別(回答母数10以上)では、「マイナス」回答の最高は、「パルプ・紙・紙加工品製造業」の85.7%(前回84.0%、2位)。前回1位の「食料品製造業」は75.0%(同86.8%)で4位に下がった。 国土交通省によれば、30分以上の荷待ち時間の件数が多い輸送品目として、加工食品、建設資材、紙・パルプが挙げられている。これらを取り扱う業者へ向け、2020年春にガイドラインが策定されたが、まだ環境整備が十分に進んでいない可能性を示唆している。 ただ、「マイナス」回答が8割を超えた業種は「パルプ・紙・紙加工品製造業」の1業種(前回11業種)のみで、前回から「マイナス」構成比が低下した業種が多かった。 「プラス」影響では、「道路貨物運送業」が12.5%でトップ。「マイナス」影響も64.5%と多いが、価格交渉やドライバーの待遇改善などで「プラス」と捉える企業も出てきたようだ。