「2024年問題」の影響、「マイナス」が55.3% 「利益率低下」、「労務管理」の負担が上昇
第2回「2024年問題」に関するアンケート調査
2024年4月、建設業や運輸業などで時間外労働の上限規制が適用された。この「2024年問題」が経営に「マイナス」の影響と回答した企業は55.3%と半数を超えた。前回調査(2023年10月)の61.9%から6.6ポイント改善したが、依然として企業経営に影響を及ぼしていることがわかった。 産業別で「マイナス」が最も多かったのは、卸売業の65.8%。次いで、建設業64.1%、製造業60.7%の順。前回調査と比べ、農・林・漁・鉱業を除く9産業で「マイナス」の構成比が低下した。 業種別で、「マイナス」が最も高かったのは「パルプ・紙・紙加工品製造業」の85.7%だった。 一方、「プラス」の回答は、「2024年問題」が直撃した「道路貨物運送業」が12.5%で最も高かった。価格交渉やドライバーの待遇改善に率先して取り組んだ企業にはメリットが生じてきた可能性がある。ただ、「プラス」が20%を超えた業種はなく、「2024年問題」への対応に幅広い業界が苦慮している状況に変わりはない。 「2024年問題」の「マイナス」の影響では、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が71.4%で最も高かった。「労務管理の煩雑化」も全産業で17.4%(前回15.9%)と上昇した。建設業が42.4%(同35.7%)、運輸業が50.0%(同43.2%)と上昇し、構成比を押し上げた。 建設業や運輸業は、規制適用前から利益率の低下やコストアップを懸念する企業が多かった。規制適用後、経営への影響が明確になり、労務管理の負担増を訴える企業の割合が高まってきた。 ※ 本調査は、2024年6月3日~10日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5,099社を集計・分析した。「2024年問題」に関するアンケートは、2023年10月に続き2回目の実施。 ※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(資本金がない法人・個人企業を含む)を中小企業と定義した。