<BOX>山中のV12戦は両国で強打のメキシカン。「稀勢の里Vの流れで」
プロボクシングのWBC世界バンタム級王者、山中慎介(34、帝拳)の12度目の防衛戦が3月2日に東京の両国国技館で、同級9位でNABF北米王者のカルロス・カールソン(26、メキシコ)を迎えて行われることが23日、都内で発表された。 この試合に勝てば、元WBA世界ライトフライ級王者、具志堅用高氏が持つ13度の世界王座の連続防衛記録に、いよいよ王手となる重要な一番。 山中は「連続防衛記録については、回数など意識していないし、よくわからない。積み重ねてきた結果ではあるが、目の前の試合を一戦、一戦がテーマ。前回、前々回とダウンを喫しているので、そこを改善して、もっといい試合をしたい。よりインパクトのあるKO決着で終わらせたらいい」と、冷静に答えた。 カールソンは、デビュー6年目のメキシコのホープで、23戦22勝(13KO)1敗のキャリア。今回山中サイドは、防衛戦の相手としてランキング1位から15位の選手まで全員に声をかけたが、いずれも山中の強打が敬遠され、唯一22連勝中のカールソンが名乗りを挙げたという。 帝拳の浜田剛史・代表によると、「上体を低くして、がんがん振り回してくる典型的なメキシカンスタイル。一発一発、角度を決めて振ってくる。駆け引きはしてこない。技術戦というより打撃戦になるだろう」という強打の好戦的なボクサー。世界挑戦は初だが、過去に世界挑戦経験のあるハビエル・ガジョや、ジョバンニ・カロにも判定勝利していて、地域タイトルを昨年9月に奪ったばかりの成長株だけに油断は大敵。番狂わせの黒星だけには気をつけなければならない。 V12戦は、同じく連続防衛記録を続けていた元WBA世界Sフェザー級王者の内山高志(ワタナベ)が陥落してしまったという鬼門でもある。 「モレノ(元WBA王者)に比べると知名度はないけれど、やる気満々でがんがん振ってくるし、特に左フックには気をつけなければならない。映像で見る以上にパンチ力はあるのかもしれない。でも足を使って逃げ回るつもりはない。迎え討って倒す。油断など、ありません」 すでに沖縄での走りこみキャンプを終えてきた。 「足腰が強くなり粘りが成長したのを実感できている」 2011年11月6日の王座決定戦でクリスチャン・エスキベル(メキシコ)を11回TKOで倒して獲得して以来、6年間、守り続けてきたベルトをここで失うわけにはいかない。 会場は稀勢の里が優勝して19年ぶりの日本人横綱誕生かという話題で沸いた両国国技館。テレビの相撲ダイジェストに目を通すほどの自称相撲ファンでもある山中は、「盛り上がっていましたよね。僕もその流れに乗りたい」と言う。両国では過去3試合防衛戦を行っているが、いずれもKO勝利した相性のいい会場でもある。 また同日のセミファイナルで日本スーパーフェザー級王者の尾川堅一(29、帝拳)の4度目の防衛戦となる指名試合が、同級1位の杉田聖(奈良)を相手に行われる。