愛媛の〝小さな〟タクシー会社の奇跡 X投稿が大反響「スマホ壊れた?」2日でフォロワー16人から2万人
「一眼カメラがあれば」
一眼カメラは広報さんの念願でした。これまでも、何度も「買ってほしい」と社長にお願いしていましたが、「スマホカメラで十分きれいだよ」と取り合ってくれませんでした。 広報さんはモヤモヤしていました。「肉眼で見ている景色とどうしても誤差が出てしまう。カメラならきれいに撮れそうなのに」 松山市出身の広報さんは、松山から町へトンネルを抜けた瞬間からパッと視界が開けたようになる、久万高原の「壮大な」景色に魅了されていました。 「日本のスイス」とも呼ばれる四国カルストを有する久万高原の空。涼やかな風に波打つ稲穂。燃えるような夕焼け。六つも流れ星を見つけたペルセウス座流星群の夜……。スマホでは、どれも本当の美しさが表現しきれない。一眼カメラがあれば。 一眼カメラに関しては「素人」でしたが、広報さんは高校時代には県内の美術課程で学び、大学はアメリカで油絵など美術を勉強し、〝表現〟には並々ならぬ情熱がありました。
「スマホが壊れた?」
誕生日の夜に、「ふわ~っとした気持ち」でつぶやいてしまったという投稿。 翌朝、起きてスマホを見た広報さんは「えっ」と叫びます。100いいねもついてる!この時点ですでに「やばい」とうろたえていたそうです。 お昼過ぎても「いいね」は増え続けます。夕方になり、スマホのバイブが突然、ずっと「ブーッブーッ」と鳴り続けたため、「アラーム? スマホが壊れた?」と手に取ると、止まらない「いいね」の通知だったと分かり、度肝を抜かれました。 そこからは、ずっといいねが伸び続け、同日夜、「社長…2万いいね超えてます……」。わずか1日で約束を達成し、坪内社長は「しゃーないな。買うてやろ…ポケットマネーでな」と答えてくれたそうです。 その後も、「いいね」の通知は一晩中止まりませんでした。 《久万高原、ファイトー!》《満天の星空を撮ってほしい》《地元の人のあたたかさが忘れられません》 いいねとともに寄せられるメッセージ。広報さんは布団に入っても眠れず「泣いてました」と言います。「こんな、本当に小さい田舎の町の、広報の一つのつぶやきに、全国の方がつながって見てくれてることが、うれしくて」