2億8千万円含み益も…水商売で借金返す40代シングルマザーの悲劇 知らないと怖い「暗号資産」の“税金”
「アメリカを暗号資産の首都にする!」 こう訴えてきたトランプ氏が大統領選に勝利して以降、ビットコイン(BTC)が爆騰している。年初からの上昇率は170%超。11月21日には1BTC=1500万円の大台に到達したことから、「年内2000万円も視野に入ってきた」(暗号資産取引所関係者)という声も上がっている。 一生お宝になるかも!?【大型の高配当株30銘柄】はこちら! だが、急激な上昇相場に乗っかる投資には注意が必要だ。 「2021年に起きた“ビットコインバブル”では、1BTC=770万円の高値をつけた後、コインチェック事件(大手暗号資産取引所の大規模ハッキング)を経て、3カ月足らずでほぼ半値の400万円割れまで下げた。高値をつかんでしまって含み損を抱えた新規の投資家たちは、当時コインチェックがCMに起用していたタレントの名前を文字って“出川組”などと揶揄されました」(同) ■税務署の狙いは… 暗号資産は値動きが激しすぎるため、短期間で大勝ちする可能性がある反面、大損する危険もある。加えて、重要なのは、税制面でのリスクだ。 「昨年12月に突然、税務調査を受けました。個人でお店をやっているので、何か申告ミスがあったかな? と思ったら、税務署の狙いは雑所得でした」 こう話すのは暗号資産の投資を10年近く続ける50代の男性。毎年、税理士の指導のもと、暗号資産取引の利益についても申告していたが、21年のバブル時の売買益を過少に見積もっているとして昨年、約400万円の追徴課税を受けたという。
「家を購入する資金を捻出するため、保有していたビットコインを1800万円分売ったんです。この取り引きで約700万円弱の売却益を得たと申告し、所得税と住民税合わせて100万円ほどを納税しました。ところが、今回の調査では売却した暗号資産の取得日と価格が誤っていないか? と追及された。実は、売ったビットコインの“原資”は17年に海外取引所を通じて購入した別の暗号資産だったのですが、海外での取り引きについては黙っておこうと考え、21年前半に買ったビットコインをその年の後半に売ったことにして申告していたんです。そのウソが取引履歴からバレて、1000万円の申告漏れを指摘されてしまいました……」 株やFX(外国為替証拠金取引)で生じた所得には申告分離課税が適用されるため税率は一律20.315%だが、暗号資産は分離課税の対象外であるため、最高税率は55%(所得税+住民税)にもなる。 ■別の暗号資産を購入したという建付け 申告漏れが発覚した場合には、この本来納めるべき税金に加えて、延滞税や無申告加算税などの追徴課税が課される。申告を誤ると、利益の大半を税金として持って行かれてしまうリスクがあるのだ。 暗号資産の税制は少々複雑だ。株取引と異なり、暗号資産取引では、ビットコインで別の暗号資産を購入するのも一般的。しかし、この場合、現金は入ってこないが、ビットコインを利益確定して別の暗号資産を購入したという建付けになるため、売却益の申告が必要になるのだ。 また、国内暗号資産取引所の多くがビットコインの“預かりサービス”を提供しているが、ここで発生する“金利収入”も申告の対象となる。