トランプかハリスか、いよいよ「大統領選」へ…一見「好調」にみえる11月の米国株市場にひそんだ「波乱要素」
注目のテスラの決算
10月23日の夕方にテスラ(TSLA)が発表した24年7~9月期の決算は、売上高は251億8200万ドルとなり前年同期比で8%増加しましたが、市場予想の254億7000万ドルには届きませんでした。とはいえ、1株当たり利益は市場予想を上回り、利益率の改善も見られました。さらに、25年の電気自動車(EV)販売見通しも上方修正され、競争の激しいEV市場において収益低下への懸念が和らぎました。 純利益は前年同期比で17%増の21億6700万ドルとなり、生産コストの削減が数字にも表れています。特別項目を除く1株当たり利益は0.72ドルと、市場の予想0.59ドルを上回る結果となりました。注目されたのは、売上総利益率が前年同期の17.9%から19.8%に改善し、市場予想の17.0%も超えたことです。自動車部門の売上総利益率も前期比2.5ポイント改善し、市場予想16.3%を上回る17.1%でした。 前回の決算では他社との競争激化が懸念されていましたが、7~9月期におけるテスラの世界販売台数は46万2890台と前年同期比6%増。市場予想の46万3310台には若干届かなかったものの、中国勢の成長に遅れをとりつつも、中国市場においてテスラの販売は持ち直し、9月には前年同月比で19.2%増加しました。 自動車専門メディアのケリー・ブルー・ブックによると、米国市場においても同四半期の販売台数が前年同期比で6.6%増となり、市場シェア48%を維持しています。 また、24年12月期の販売見通しも「マクロ経済環境の厳しさが続く中でわずかな成長が見込める」と上方修正。CEOイーロン・マスク氏は、25年にはEV販売が20~30%増加する可能性があると述べ、低価格モデルと自動化技術がその成長を支えると強調しました。
次回FOMC(11/6,7)の注目点
ロイター通信によると、10月10日、アトランタ連邦準備銀行(FRB)のボスティック総裁が、9月の消費者物価指数(CPI)の発表を受け、11月のFOMC(連邦公開市場委員会)では「利下げを見送ることに問題はない」と述べたことが報じられました。ただし、ボスティック総裁は元より連続での利下げには慎重な立場を取っていた少数派のメンバーです。 一方で、シカゴ連銀のグールズビー総裁は、9月のCPIを受け、「それほど心配はしていない。12~18か月の傾向でみれば、インフレ率は下がっている」と述べ、FRBはもはや物価上昇だけに囚われる必要はないという姿勢を示しました。 ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も10日の講演で、FRBの使命である「インフレ抑制」と「雇用促進」のバランスが改善しているとし、今後は中立金利(景気に中立的な金利)に向けて、段階的に政策金利を下げる余地があるとしました。 こうした一連の発言を受けて、11月のFOMCで0.25%の利下げが実施されるのではないかとの期待が金融市場で広がっています。さらに、25年までには、現在の4.75~5.0%という政策金利が3%台に引き下げられる可能性があると見られています。 また11月1日に発表される10月の雇用統計発表は、5日の大統領選直前であり、選挙結果にも影響を与えることが予想されるため、世界中の金融関係者の注目を集める経済指標となるでしょう。 こうした事象を踏まえて、11月6,7日のFOMCの動向も少なからず左右されそうです。