不動産会社の経営者が教える! 選んではいけない「賃貸物件の特徴」とNG行動
物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、賃貸物件の内見をする際、絶対に見逃してはいけない意外なチェックポイントについてお聞きしました。ぜひ物件選びの参考にしてください! 【画像】不動産会社の経営者が教える! 選んではいけない「賃貸物件の特徴」とNG行動 まとめはコチラ
見落としがちな賃貸物件のチェックポイントとは
――内見する際、どのようなところに注意しておけばいいですか? 石岡まずは、部屋に入った瞬間「なんだかいいな」という感覚があるかどうか。不思議なもので同じような条件であっても、そう思える物件と「居心地がよくない」と感じる物件があるのです。まさにフィーリングですね。フィーリングが合うかどうかを確認した上で、具体的に「住み心地がよさそうか」、「室内はきれいか」、「設備は整っているか」といった、物件情報や写真、間取り図などではわかりにくい部分などについて確認していきましょう。 室内の主なチェックポイントです。 ・収納の有無、広さは十分か(サイズを計測する) ・コンセントの場所と数は(家電を置く場所をイメージする) ・窓や扉の開け閉めはスムーズにできるか ・網戸に穴が開いていないか ・日当たりや風通しはいいか ・お向かいや隣の建物が日差しをさえぎらないか ・玄関のドアのサイズと通路の幅(好きな家具が搬入できない場合も) ・水回りや壁紙から嫌な臭いはしないか ・押し入れや窓のサッシなどがカビ臭くないか ・床や天井にシミがないか ・エアコンがある場合は清掃されているか ・コンロの有無と種類は(ガス・IH・電気コンロ) ・カーテンレールの有無(ある場合はサイズを計測する) ・携帯の電波は入りやすいか ――室内以外では、どんなところをチェックしておくべきでしょうか? 石岡 共用部分と周辺環境ですね。共用部分が乱れていたり、設備が老朽化していたりする物件はおすすめできません。また、周辺環境も快適に生活する重要な鍵となるので、しっかり確認しておきましょう。それぞれの主なチェックポイントです。 共用部分 ・エントランスや廊下が汚れていないか ・ゴミ置き場は乱れていないか ・駐輪場はきれいに整理されているか ・掲示板にトラブル等の注意書きがないか ・夜ならば廊下の電球などが切れていないか 周辺環境 ・近くに幹線道路や線路があってうるさくないか ・大型の商業施設、娯楽施設などはないか ・人通りが多く治安がいいか ・街灯があり夜道が暗くないか ・駅やバス停まで近いか ・近くに交番があるか ・近くにスーパー、コンビニ、病院、郵便局、銀行などあるか ・同じ建物内や近所に、臭気の気になる飲食店がないか ――けっこう、チェックする項目が多いですね。 石岡 そうですね。室内の内見に関しては約1時間以内という限られた時間しかないので、自分が重視したい箇所は忘れずに確認してください。あとで見返すためにも写真を撮ったり、扉やカーテンなどのサイズを書き込んでおくとよいでしょう。筆記具の他、採寸用のメジャー、コンパス、地図も持って行くと便利です。 ――それでは、内見で見落としがちなポイントやNG行動について教えてください。 NG1 夜間に内見に行く 仕事などで忙しく、夜間に内見を予定しているかたもいるかもしれませんが、日当たりを重視するのであればやめたほうがいいでしょう。夜に内見すると日当たりはもちろん、窓からの景色や近隣の雰囲気もわかりづらいため、あまりおすすめできません。 ただし、夜間の人通りや明るさ(街灯の有無)、また繁華街の近くなら騒音などがチェックできるといったメリットがあります。 日中に室内を見ておき、夜間あらためて周辺環境をチェックしに行くのがおすすめです。 NG2 物件から駅までの道を歩いてみない サイトや広告などで見かける「○○駅徒歩○分」という表示は、「不動産の表示に関する公正競争規約」によって算出されており、次のような決まりがあります。 ・「1分=道路距離80m」で計算 ・秒数は切り上げて表示する ・道路距離は「歩く道の長さ」(道路環境は考慮されない) これには、急こう配の道を歩く、信号や踏切の待ち時間、交通量の多さ、道の幅などは考慮されていないため、表示と数分程度、差が出る場合があるのです。 駅まで10分と思っていたら15分以上かかった、というのはよくある話。住み始めてから後悔しないためにも、駅までかかる時間を調べておいたほうがよいでしょう。内見の際、不動産会社の車で物件まで向かうかたもいると思いますが、帰りは駅までの道のりを実際に歩いてみることをおすすめします。 NG3 住人の属性を知らずにいる どのような属性の住人が多いかを知らないまま物件を選ぶと、快適に暮らせない可能性があります。 たとえば静かに暮らしたい単身者なら、学生主体の賑やかなアパートや、家族が多いファミリータイプのマンションは生活音の観点からあまりおすすめできません。また逆もしかり。 お子さんがいる家庭なら、同じような住人が多く暮らす物件のほうが、助け合えたり、生活音を大目に見てもらえたりと、安心して暮らせると思います。 内見の際は、不動産会社の担当者にどんな属性の住人が多い物件であるのか確認するとともに、実際に隣室や上下の部屋の生活音が気にならないか、入念にチェックしてください。
<教えてくれた人> 石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。 取材、文・髙倉ゆこ ©globeds/Adobe Stock
取材、文・髙倉ゆこ