イーロン・マスクが「政府の敵」として米消費者金融保護局を名指しした理由
ドナルド・トランプ次期米大統領が政府のコスト削減担当に指名したイーロン・マスクは、11月27日、新たな連邦政府の敵を名指しした。それは、2008年の金融危機後に設立された比較的新しい機関である消費者金融保護局(CFPB)だ。 【画像】「CFPBを削除せよ」とマスクはXに投稿 マスクは「CFPBを削除せよ」とX(旧ツイッター)に投稿した。CFPBは、「消費者向けの金融商品の市場が公平で透明性があり、適切な競争が行われていることを保証する活動」を行なう機関で、特にクレジットカードや決済処理に関与する企業の監視を行っている。 次期大統領が新設予定の「政府効率化省」の共同リーダーに指名されたマスクは、「重複する規制機関が多すぎる」と付け加えた。 彼のこの投稿は、ベンチャーキャピタリストでトランプに多額の政治献金を行ったマーク・アンドリーセンが最近のポッドキャストで発言した内容を受けてのものだ。アンドリーセンは、CFPBの主な目的が「金融機関に脅しをかけることだ」だと主張していた。Yahoo Financeの記事によれば、CFPBはアンドリーセンが共同創業したアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の投資先の1社を2021年に閉鎖させていた。 2007年から2008年にかけての世界の金融危機とそれに続く世界的な景気後退を受けて2011年に設立されたCFPBは、米国の一般消費者向けに金融商品を提供する企業を監視しており、これまで累計約200億ドル(約3兆円)の債務の取り消しなどの消費者の救済措置を行ったとされている。 しかし、保守系シンクタンクのヘリテージ財団が発表したトランプ新政権の複数のメンバーが執筆した連邦政府計画の「プロジェクト2025」は、CFPBを「高度に政治化された、有害で、完全に責任を負わない連邦機関」と批判し、この機関を廃止するよう呼びかけている。 CFPBの2024年9月末までの1年間の予算は、約7億6000万ドル(約1140億円)だった。「トランプ次期大統領と議会の共和党は、規制緩和の一環としてCFPBの権限を制限しようとしている」と、ワシントンポストは23日に報じていた。 CFPBは、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が2007年に提唱したアイデアをもとにしており、現在も民主党が主導する連邦政府による金融テクノロジーとサービスの監督に影響を与えている。 マスクは、連邦政府の400を超える機関のうちの75%以上を削減することを目指している。彼の削減計画の多くは、CFPBや連邦取引委員会(FTC)、証券取引委員会(SEC)などの規制機関をターゲットとしている。
Derek Saul