賀来賢人「裏方として作品をつくることはやるつもり」新たな挑戦で広がった表現の可能性
独立して2年、直感力に突き動かされてきた
――本作で、竹内涼真さん、河合優実さんとは初共演でしたが、一緒に芝居をしてみて感じた魅力を教えてください。 「竹内くんはめちゃくちゃいい男で、芝居の話はもちろん、トレーニングや趣味のことまで、撮影中も色々な話をしました。真面目だし、ストイックで、彼のためならがんばれちゃうなって。僕、普段はもうちょっとクールというかドライなタイプなので、あまりそういった気持ちにならないんですけど、『竹内くんのためなら、がんばっちゃおうかな』って、そう思わせるほど魅力的な男でした。 河合さんについては、一緒に芝居をする前から竹内くんと『オーラがすごい』って話をしていたんですよ。実際、撮影に入ると彼女は絶対に小手先でやろうとしない。その腹の据え方が只者じゃないというか。小手先でやろうとしないから不器用ではあると思うんです。だけど、すべて自分のフィルターを通して表現しようとする人だから、純度が高くて、誰かに似るわけでもなく、彼女にしかできない表現が生まれる。あの無垢な強さが素晴らしいし、それがきちんと評価されていて、世の中捨てたもんじゃないなって思えました」 ――賀来さん自身は事務所を独立されてから丸2年が経ちました。エンタメへの関わり方が多岐にわたっている状況ですが、この2年間での学びや手応えはどのようなものがありますか? 「それほど確かなものはなくて、根拠のない自信や直感力に突き動かされてきた感覚です。自分の内側に芽生えたものを、『絶対に実現してやる』と強い想いを持ち続けた2年間でしたね。言霊にするというか、想いを外側に発信して、現実にしていこうと思ってやってきました。振り返ってみると多少パワープレーな部分もありましたけど、結果オーライというか、トライしてよかったなと思うことがほとんどでした。 僕が突き動かされたそもそものはじまりは、コロナ禍に直面して仕事がなくなることに怯えている自分がいたことでした。当たり前に仕事が毎日あって、当たり前に安定したお給料をいただける生活ができると思うなよって、自分に喝を入れたというか。初心に帰るきっかけにもなって、先が見えないならば待つだけじゃなくて、好きなことをやるために自分から仕掛けていこうと動き出したんです」