ジェンダーレスでオーガニック。ファッションの未来を見据える「ノルウェージャン・レイン」
東京大空襲をくぐり抜けた元ガラス問屋。見た瞬間に「ここが私たちの家だ」と思った
東京・神田の古書店街にほど近い神田須田町には、第二次世界大戦の東京大空襲をまぬかれた一角がある。戦前からの建物が点在し、古い建物を活かしたカフェなども散見されるが、ファッションとは無縁の町並みだ。そんな場所に昭和初期から建つ、元ガラス問屋だった建物をリノベーションしたのが「ノルウェージャン・レイン & T-マイケル TOKYO STORE」だ。本拠地のノルウェー・ベルゲンとオスロ、そしてパリに次ぐ4店目となる。店内には「ノルウェージャン・レイン」と、T-マイケルの独自ブランドのアイテムが並ぶ。 「もともと、ファッショナブルな地域に出店することは考えていませんでした。東京のイーストエリアで物件を探し続け、半ば解体工事が進んでいたこの建物にたどり着きました。ある日曜日の午後に初めて見に来たとき、私はひとりで3~4時間を過ごし、“ここが私たちの家だ”と確信したのです」とT-マイケル。 インテリアには、1960年代のヴィンテージや現代のノルウェーのデザイナーによる家具が用いられ、アンティークの小物が散りばめられている。吹き抜けには、ヴィンテージの吊り輪が下げられている。
「ベルゲンのT-マイケルのショップを初めて訪れたときのことを鮮明に覚えています。店内は服だけでなく、アンティークの品物であふれ、それがきっかけとなって会話が弾みました。この店もその雰囲気を引き継いでいます。たとえばこの木箱は、第二次世界大戦時にベルゲンで使われたもので、貴重な絵画などのアートを収めて戦禍から守り、隠しておくためのものでした。これが、東京大空襲を生き延びたこの建物に置かれていることは、私たちにとってとても重要なことなのです。皆さんにも、買い物にではなく遊びに来て欲しい。心からリラックスして、楽しい気持ちになってほしい。吹き抜けの吊り輪は、そんな気持ちを引き起こすトリガーとして飾っています」とヘレ。