軽井沢の観光地で「タクシー不足」を解消した“3本の矢”プロジェクト
軽井沢町は、都心からの交通のアクセスが良いことから、観光シーズン以外でも金曜夜から土日にかけて首都圏からの観光客が集中する。そのため、タクシー不足は年間を通じた社会課題なっていた。 ■GO/ライドシェア/タクシー応援隊 そうした課題に対する解決策の候補は、さまざまあったという。 たとえば、ライドシェア(自家用車活用事業)。2023年後半には、内閣府「規制改革推進会議」のワーキンググループで、議論が白熱していた。これは、のちに自家用車活用事業として形になる。
ほかに、公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)や、GOが北海道のニセコで繁忙期に実施した、外部からのタクシー応援隊の試みがあり、協議の結果、前述のように「タクシーアプリ『GO』導入」「日本版ライドシェア」、そして近隣地域を含めた佐久交通圏における「タクシー応援隊」の3つの合せ技での実施が決まった。 GOアプリについては3月28日、町内タクシー合計107台に導入し、4月8日に軽井沢駅北口にGO専用の乗り場を設置した。
日本版ライドシェアでは、4月26日に地元タクシー事業者の松葉タクシー、ますや交通、軽井沢観光、第一交通で合計25台を設定している。 そしてタクシー応援隊については、年間最大の繁忙期にあわせて、7月12日から9月27日まで実施。週末やお盆の需要ピーク期に、3社に応援要請をかけ、11台を増車している。 結果として、日本版ライドシェアと応援隊がもっとも多く稼働したのは8月24日で、タクシー需要全体の約4割に達するという結果になった。こうした「軽井沢タクシー供給強化プロジェクト」の進捗については、町のホームページで紹介している。
プロジェクト実施期間でのタクシー需要に対するマッチング率は、概ね80%以上の水準を確保。「3本の矢」効果は十分にあったと、軽井沢町では評価している。 そのうえで、「地元タクシー事業者の事業を最優先として、得られたデータによって過剰供給にならないように配慮することが大事」(軽井沢町住民課)という姿勢を示した。 軽井沢タクシー協会会長で、松葉タクシー代表取締役の松葉和彦氏は、プロジェクトが稼働して以降「お客様から苦情はひとつもなかった」と振り返る。