天皇陛下の青春の地 英オックスフォード留学【皇室a Moment】
天皇陛下:「特にこれはオックスフォードの2年間のコレッジでの生活の結果だと思いますけれども、自分でものを考え自分で決定をし、そして自分で行動に移すというそういったことができるようになったんではないかなと、そういうふうに思います」
皇室のあり方を聞かれて「一番必要なことは、国民とともにある皇室、国民の中に入っていく皇室であることだと考えます」と明快に答えられたのもこの頃です。上皇さまは当時「深みを増した」と話されていますが、陛下は留学を通して大きく大きく成長されたのだと思います。
■“第2の故郷”お2人でオックスフォード訪問も
――陛下にとって青春の地イギリスがいかに特別な存在かということがわかりました。来月、オックスフォードを訪問されるとなると、留学以来になりますか? いいえ。1986(昭和61)年、1991(平成3)年、2001(平成13)年に行かれています。それでも陛下にとっては23年ぶり、皇后さまと一緒は初めてになります。
こちらは1991年9月、日英交流行事の折にオックスフォード大学を再び訪問された時の様子です。 ――黒の帽子に赤いガウン。珍しい装いですね。 この時、陛下はオックスフォード大学から名誉法学博士号を授与されました。
私も現地で取材していましたが、陛下がうれしさあふれる表情だったことをよく覚えています。その時に、オックスフォードは“日英友好の象徴”ではないかと思ったものです。
このイギリス訪問は、もともとは、留学中、温かな心配りをしてくれたエリザベス女王から即位後最初の公式訪問として招待されたものでした。
その女王が亡くなって葬儀に駆け付けられたあと、イギリスの代替わりの行事があってようやく実現します。 『テムズとともに』には「遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることができることを願っている」という一節があります。
陛下が“第二の故郷”と言われるイギリス・オックスフォードですから、思い出の地への訪問がさらなる友好親善につながるといいなと思います。 ――天皇皇后両陛下お二人でイギリスを訪問されるというのは、どんな様子が見られるのか、とても楽しみです。 【井上茂男(いのうえ・しげお)】 日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)