「あの人に比べて、自分には何もない…」→老子の言葉で劣等感が吹き飛んだ!
メジャーリーグで活躍するアノ選手や、国民的人気を博す若手アーティストなど、自分と同年代で活躍している人々を見ると“焦り”や“劣等感”を抱く人もいるかもしれない。しかし、中国の思想家・老子は、何かを成し遂げるタイミングは人によって異なることを「大器晩成」と説いた。「大器晩成」に込められた真意について、精神科医の野村総一郎氏が解説する。※本稿は、野村総一郎氏『人生に、上下も勝ち負けもありません。焦りや不安がどうでもよくなる「老子の言葉」』(日経ビジネス人文庫)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 「何か成し遂げた人」を見て 焦りや劣等感を感じてしまったら 若くして成功したスポーツ選手やアーティストを見ると「すごいなあ」「かっこいいなあ」と憧れてしまう。 あるいは、仕事や趣味のコミュニティで活躍する後輩を見て、 「若いのによくできて羨ましい」 「私が同じ年の頃はあんなに気が回らなかった」 などと感じることがあるでしょう。 そのほか、会社のなかで同期の活躍だけは妙に気になってしまう。 同期の昇進や活躍を素直に喜べない自分がいる。 そんな人もたくさんいます。 同年代や年下の人の活躍に触れると焦りを感じることがあると思います。 同世代というのはそれだけで親しみを感じられる一方、妙なライバル意識や劣等感を覚える存在でもあるでしょう。 そんなときは「地球」のことを考えてみてください。 <地球の思考> 本当に偉大なものは、 そもそも完成しないのさ。 <老子の言葉> 大方(たいほう)は隅(ぐう)無し。 大器(たいき)は晩成(ばんせい)す。 ↓ <医訳> 四角形をどんどん大きくしていくと、その大きさは感じられなくなり、どこが隅だかわからなくなる。本当に大きなことを為す人というのは、なかなか完成しないものだ。 ※「大方」とは「とても大きな四角形」のこと。 「大器晩成」という言葉をご存じの方も多いと思います。じつはこの言葉、老子の思想がもとになっています。 昨今はスピード勝負の世の中なので「いかに早く結果を出すか」「いかに早く成功するか」の「早さ」ばかりがクローズアップされがちです。 自分より「早く」「若くして」成功している人を羨ましく感じるのも当然です。 たしかにスピードは大事。 しかしその一方、じっくり取り組まなければいけない研究や時間をかけなければ達成しえないプロジェクトや仕事だってたくさんあります。 それは「人」も同じです。 若い時分から優れた能力を発揮し、早々に認められ、20代、30代のうちに大金を稼ぐ人もいる一方で、年齢を重ねた後に真価が認められ、大きな仕事を成し遂げる人もいます。 音楽家のベートーヴェンは40代になって、聴覚をほとんど失ってから、真の名作を残したとされています。 人それぞれ、結果を出すタイミングは違う。 誰もが知っておくべき大事な要素だと私は感じます。 ● 老子が説いた 「大器晩成」の持つ意味 そしてもうひとつ、ここで取り上げた老子の「大器晩成」には「偉大なものはなかなか完成しない」という一般的な理解とは別に、少し違った捉え方が存在します。 それは「本当に偉大なものは、そもそも完成しない」という解釈です。