SL列車、汽笛上げ桜のトンネル走る 茨城~栃木結ぶ真岡鉄道
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子どから大人まで根強い人気を持つSL(蒸気機関車)の春の運行シーズンが開幕。各地のイベント列車が家族連れや鉄道ファンでにぎわっています。桜のこの時期は行楽とも重なってSLは大忙し。通年でSLが走る鉄道の一つ、真岡鉄道(本社・栃木県真岡市)の桜並木の旅を9日、訪ねてみました。
土日や連休など1日1往復
真岡(もおか)鉄道は下館(茨城県筑西市)~茂木(栃木県茂木町)間41.9キロを結ぶ第三セクターの鉄道。SL運転はC11、C12の2台で土曜、日曜日や連休などに1日1往復運転しています。 この日も午前10時35分下館発茂木行きのSL、C11-325が運行。旧型客車の3両編成で往復運転しました。出発前のSLの前で記念写真を撮ったり、機関車の車輪や運転台をのぞき込む鉄道ファンや行楽客ら。汽笛とともに動き出すと沿線にも人が出て手を振って見送りました。
真岡鉄道のSLの車窓の見どころは、沿線の桜並木。この日はちょうど満開の桜のトンネルをSLの汽笛や煙とともに走り、乗客は歓声を上げて大喜び。車窓を過ぎる桜の花は手を伸ばすと届くような距離で、幼い男の子が窓から舞い込んできた桜の花びらを手にして喜んでいました。沿線の菜の花も鮮やかな黄色で桜とのコラボレーションを繰り広げていました。 平地や下り坂では軽快な音で走り、上り坂ではあえぐようなSLの蒸気機関の音は、電車と違って人間らしいと人気です。この日も帰りのSLは茂木駅を出発してしばらくすると急坂にかかり、ゆっくりしたリズムで太い蒸気の音を上げ続けました。並走する沿線の車と同じような速度になり、車から手を振る人も。やがて坂を過ぎると、車輪の音も軽くなりSLの煙突から出る煙も薄い色になって列車は加速。軽快に田園を駆け抜けました。
茂木駅には機関車の向きを変える転車台があり、実際の作業もホームから見学できます。重い蒸気機関車がターンテーブルのように回る台の上で少しずつ向きを変えていくと、乗客たちはカメラを向けていました。SLはこの後、別の線路上に引き込んであった客車に、来たときと逆の位置で先頭につなぎ、出発駅だった下館まで客車を引きました。