甲子園では「こういうピッチャーがいちばん怖い」プロスカウトも脱帽…93年ぶりベスト8で大ブレイク“島根の公立”大社高・馬庭優太のリアル評
今年も大きな盛り上がりを見せた夏の甲子園。京都国際高初の全国制覇で幕を閉じた大舞台だが、中でも「台風の目」となったのが島根・大社高の躍進だった。「32年ぶり出場の県立高」というバックボーンから注目された同校だが、その選手たちを百戦錬磨のプロスカウトたちはどう見たのだろうか。《全2回の1回目/つづきを読む》 【現地写真】「涙、涙…アルプス見上げる大社ナイン」「130キロ台でも打てない…馬庭優太の超変則フォーム」「大社の42歳監督が…試合後に神村学園を笑顔で」テレビに映らなかった“大社の激闘”を一気に見る 大会5日目・第3試合。 大社高(島根)VS報徳学園高(兵庫)。 32年ぶりに夏の甲子園に出場した島根の公立校が、2年連続センバツ準優勝の地元・報徳学園に挑む。
報徳OBも「楽なとこ引いたんやないか」のハズが…?
第2試合から1万人増えて、観客3万8000人。報徳学園応援席からの「圧」はすさまじく、球場全体が報徳学園に「熱」を送っているように感じられた。 「そう、島根の公立校でしょ……聞いたことない学校やし、49校でいちばん楽なとこ、引いたんやないかな」 言ったのは、私じゃない。余裕の笑顔で、うかつなことを口走ったのは、ほかでもない……だいぶ前に卒業した報徳学園OBだった。 その、聞いたことない島根の公立校・大社高が、甲子園の強豪、常連3校をいずれも僅少差のしびれるような試合展開の末に破って、ベスト8に勝ち上がったのだから、たぶん日本中の野球ファンが驚いたのではないか。 今、振り返っても「あっぱれ!」な大奮闘ぶりだったと、胸が熱くなる。 試合開始当初、報徳学園・先発の今朝丸裕喜投手(3年・188cm80Kg・右投右打)の球筋が見たくて、ネット裏スタンド、捕手の真後ろの位置からグラウンドを見下ろしていた。 7球の投球練習、ボールが指にかかりきっていない。持ち味の快速球も変化球も、センバツの時のように、エッジがとがっていない。 1番打者にスライダーをライト前に、2番打者にはフォークの投げ損じを三塁強襲。ヒット2本続けられて、3番打者には四球を与え、バックのエラーも重なって、初回から2点を奪われた今朝丸投手。 その裏、この秋のドラフト会議で1位指名候補にも挙げられている剛腕と入れ替わって、ひと回り小柄に見える左腕がマウンドに上がる。 大社高(島根)・馬庭優太投手(3年・176cm81Kg・左投左打)。 珍しい名字の馬庭は「まにわ」と読んで、地元の人によると、結構よくある名字だという。 今朝丸投手の立ち上がりに熱く注目していた反動か、馬庭投手の投球練習に視線を注ぐ者は、記者席にも少ない。 1回裏の立ち上がり、センス抜群の報徳学園1番・西村大和三塁手を、スライダーでタイミングを外して、センターフライに打ち取ると、2番・福留希空中堅手の攻め方に、「オオッ」と思った。 セットポジションから、急にクイックで投げて福留選手のカウントを追い込む。映像に映った福留選手の表情が、「なめんなよ」と見えた。
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