JR東日本も参入した「組み込み型金融」 個人向けの決戦場はスマホの中
■住信SBIは「代理業型」 こうした「銀行代理業型」での先駆者は、住信SBIネット銀行。日本航空や高島屋、家電量販店最大手ヤマダデンキを傘下に持つヤマダホールディングス(HD)など広い顧客接点を持つ16社に「ネオバンク」のネーミングで銀行機能を提供し、158万口座を獲得してきた(24年3月現在)。 例えば、ヤマダデンキの会員向けアプリ内で展開する「ヤマダネオバンク」では、グループのハウスメーカーでの新築戸建て購入者に向けて、住信SBIネット銀行の住宅ローンを取り扱う。家具・家電の購入にもローンを使える。 5月には名刺管理サービスのSansanと提携し、同社の提供する法人カードサービスに銀行口座を組み込み、請求業務での入金消し込みを効率化していくと発表した。住信SBIネット銀行にとって法人口座の銀行機能提供は初で、今後、事業性融資などロットの大きい「BtoBtoB」のビジネスモデルの展開が期待される。 楽天銀行も銀行代理業型で事業を進める。楽天グループ内の証券や保険、クレジットカード会社などと連携し、「楽天経済圏」で銀行機能を使えるようにしている。グループ外ではJREバンクのほか、第一生命保険などに向けて銀行代理業型での銀行機能を提供する。ただし、銀行代理業取得には人員体制やコストがかかり、選択できるのは主に大手企業となる。 もう一つのパターンは、事業者の決済や入金業務の課題を解消する「本業支援型」だ。このモデルは、GMOあおぞらネット銀行やふくおかフィナンシャルグループ(FG)傘下のみんなの銀行が手掛けているが、ブランド側の事業者に銀行代理業の取得は基本的に不要で、小規模な事業者でも導入しやすい。 ビジネスモデルによっては、銀行代理業よりもライセンス取得負担の軽い「金融サービス仲介業」を取得してもらうケースもある。銀行としての収益は、システム利用料や振込手数料、API利用料となる。