UACJ、日軽金など6社がアップグレードリサイクル研究開始。低純度スクラップを高純度アルミに
UACJは23日、低純度スクラップを高純度アルミへアップグレードリサイクルする新手法の実用化に向けた研究開発が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導プログラムに採択されたと発表した。北海道大学、岩手大学、千葉大学、京都大学、日本軽金属と共同で低温型電解法を用いたリサイクル法の確立を目指す。研究期間は2024年度から2年間(最大3年間)。研究開発を経て、30年以降に国家プロジェクトや産学連携による社会実装につなげていく考え。 今回の共同研究は、これまで廃棄されていた低純度スクラップなどを、新地金相当や電子材料や航空宇宙材料などに使用される高純度アルミにアップグレードリサイクルするもの。一般的に工業生産されているアルミは、約1千度で溶かして純度の高いアルミを電析させる方法で精製されている。UACJなどは今回、150度以下の低温下で固体のスクラップから固体のまま高純度アルミを精製する「低温型電解法」を採用。すでにラボスケールでは現行の製錬技術である「ホール・エルー法」や「三層電解法」と比較して、消費電力を25%以下に削減できることを確認している。 この電解法の課題は量産化であり、実用化に向けて大型の設備で実施するための研究開発を進める。研究開発が実用化されれば低純度スクラップを廃棄せず再生利用できるようになる。廃棄物の削減やCO2排出量削減をはじめ、輸入に依存せず国内でのアルミ資源確保が可能になる見込み。 UACJは22年度まで北海道大学、岩手大学、千葉大学、京都大学の4大学と新構造材料技術研究組合(ISMA)でもNEDOの委託事業を連携して実施していた。今回の研究では、アルミ製錬の量産知見を有する日本軽金属が参画することで早期の社会実装を目指す。