<喧嘩独学>菱田正和監督インタビュー ウェブトゥーンとアニメの親和性 富野由悠季監督の大きすぎる影響も
◇高い等身のキャラの難しさ
「喧嘩独学」は、リアル寄りのスタイリッシュなキャラクターも魅力の一つになっている。一方、マンガらしいキャラクターの表情の表現もある。アニメでも原作のキャラクターの魅力を表現しようとした。
「すごくリアルで繊細なので、描くのは正直難しいところもあります。頭身が高いと、崩れやすいんです。デフォルメされたキャラの方が崩れにくいんです。できるだけ原作に忠実に再現してもらう方向でやってもらっています。アニメの設定から、一線を越えて崩すのは難しいんですよ。原作がなければ、ここまで表情を崩せない。そこも忠実にやろうとしています。それに、原作がすごくよくできていますしね。アニメは本来、大げさな芝居、表情、動きもできるはずですが、最近はそうでもなくなっていて、『喧嘩独学』は原作でいけるところまでやっているので、そこを面白く伝えられるように、忠実に表現しようとしています」
八潮秋、朝宮夏帆などの女性キャラクターも魅力的だ。
「朝宮や秋は、男臭いところを緩和してくれますし、女子キャラの存在は大きいですよ。可愛いから、男子キャラの格好いいところが引き立つ。朝宮、秋は絶対的に可愛く描こうとしています。志村は、けんかだけじゃ生きていけない。朝宮がいるから生きていける。そんな気持ちとシンクロして作っているところもあります」
アクションシーンも大きな見どころだ。
「基本的には原作に忠実に描いていますが、ここぞというシーンは、原作の格好よさを最大限に見せるために、スーパーアニメーターの方々に膨らましてもらっています。原作が既に格好いいので、それをどうやったら生かせるのか?と考えながら作っています」
◇富野由悠季監督に頭のOSを全部書き換えられた
「喧嘩独学」は、動画配信、スクールカーストなど今風の題材を描いているものの、アクション、恋、友情など普遍的なテーマが通底しており、ストレートな作品でもある。