<喧嘩独学>菱田正和監督インタビュー ウェブトゥーンとアニメの親和性 富野由悠季監督の大きすぎる影響も
「ストレート、好きですね。僕は比較的ストレートなものをやってきたと思うのですが、そんなことないですか? オリジナルは、ただ普通に作っても見てもらえないことがあるので、ちょっとクセを強くすることもあるけど、『喧嘩独学』は素材の味を生かして、勝手にカレー味にしたりはしていません。今回、オファーをいただいた際に、僕に『合っている』と言っていただいたのですが、僕もそう思っています。素晴らしい作品をやらせていただき、感謝しています」
菱田監督は「プリティーリズム」シリーズなどの女児向けアニメや「KING OF PRISM」シリーズなどの男性アイドルアニメだけでなく、さまざまなジャンルの作品を手掛けてきた。
「女の子ものが集中して、男子が踊るアニメが集中して……ということはありますが、僕は何でもできるんですよ(笑い)。萌えアニメはあんまりやっていないけど、それ以外はできるんですよ。今回は、少年が主人公という意味では僕の原点に近いのかもしれませんね。アムロも志村も16歳ですし、結局はそこが好きなんだと思います」
菱田監督は、サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)でキャリアをスタートした。井内秀治監督や近藤信宏監督から演出を学び、「∀ガンダム」では演出助手を務め、富野由悠季監督の薫陶を受けた。富野監督の影響について「そりゃありますよ」と語る。
「頭の中を書き換えられるくらい影響があります。入った瞬間から怒鳴られ、週に2回は怒鳴られてました。それを1年やったから頭のOSを全部書き換えられました。いまだにそこから逃れられない。でも、新しいOSをインストールしていますよ(笑い)。演出する意味など基本的なことは全て影響を受けていて、垣間見えちゃうところもあると思います。富野監督はカメラワークが多いですが、今回も多いですし、完全に影響を受けています」
菱田監督は、さまざまな作品を手掛けてきたが、意外にも原作があるアニメの監督を務めるのは、1~3月に放送された「即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。」と「喧嘩独学」の2本のみだ。