手術ロボットが伸びるインテュイティブサージカルの実力
四季報オンライン
アメリカ市場に上場している注目銘柄を取り上げる連載企画「はじめての米国株」。今回はロボット手術機器のパイオニア、 インテュイティブサージカル (ティッカー:ISRG)を紹介する。アメリカでは現在、前立腺全摘手術の9割を超える数が同社の展開するロボット手術機器「ダビンチ(Da Vinci)」によって行われている。ダビンチは今後、より市場規模の大きな一般外科手術への適用拡大やアメリカ国外での市場開拓強化を狙っており、その展開が注目される。 会社の成り立ちは1980年代後半にさかのぼる。非営利研究機関「SRIインターナショナル」で行われていた研究がダビンチの基礎で、1995年にSRIからその特許を取得してインテュイティブサージカルが設立された。 1999年に世界で初めて欧州で医療機器の認可を取得し、2000年にはアメリカでもFDA(食品医薬品局)の承認を得た。以後、ダビンチは20年以上にわたって腹腔鏡を使用した低侵襲(患者の身体的負担が小さい)の医療機器として普及し、世界で延べ850万人以上の手術実績を持っている(2020年末時点)。 ダビンチの設置台数は2022年末時点で7544台。これまで複数回の改良が加えられ、最新型は2018年に投入した第5世代となる。近年は年間1300台前後が出荷され、代わりに老朽化した機材が400~500台程度下取り・引退するため、純増ペースは800台前後となっている。もっとも、ダビンチ本体を医療機関に導入して得られる売上高は全体の3割弱。残る大半は関連器具や備品などの消耗品と付帯サービスで得ている。 地域別では、アメリカでの売上高のシェアが約7割を占める。本国ではダビンチで手術を行える領域を広げていくことで事業の拡大を狙う方針だ。海外事業の売上高比率は3割にとどまる。今後は各国の医療行政による許認可を増やしつつ、ダビンチを操作可能な医療関係者を増やすための技術研修なども実施して、売り上げシェアを伸ばしていくことが求められよう。
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大和証券 米国株執筆班