「本気で痩せたい」人ほど要注意?ダイエット難民を増やす人気SNS投稿の5つの特徴
ダイエットのために運動を始めたいけど、パーソナルトレーニングは高いし、ジムに行くより家でやれること探したいし、本屋でダイエット本を買っても続かないし…。 気軽に始められる手段として、エクササイズやダイエットメニューをSNSで情報収集する時代です。しかし、正確な情報を探したいダイエッターの要望とは裏腹に、SNSに溢れる誤情報がダイエット難民を増やしています。 メディアでダイエット情報を発信するニュージーランドのパーソナルトレーナーmikikoが、SNSで情報リテラシーを高める方法をレクチャーします。 〈関連写真〉確実にやせたい人は、運動よりも「姿勢改善」から始めるべき ■SNSのアルゴリズムに要注意 まず、SNSで情報収集をする際に気をつけたいのが「アルゴリズム」の存在です。 SNSの運営会社にとって最大の目的は、多くの人がより長い時間アプリを使うこと。極端にいってしまえば、アプリに依存してもらうことが好都合になります。そのため、依存しやすくなるデザインや人気が出やすい投稿をより多くの人の元へ拡散するためのアルゴリズムを常に研究・変更しています。 そして、SNSの情報発信者の最大の目的は、多くの人の目に触れる情報を発信して、知名度を上げたり商品を売ること。そのため、常に変わっていくアルゴリズムに合わせて「バズりやすい投稿」を重視して発信しています。 実は近年、このアルゴリズムや広告などの仕組みが変わったことで情報の質が著しく落ち、投稿の注目度やいいねの数では情報の良し悪しが判断できなくなっています。本当に消費者にとって有益な情報なのか?そもそも投稿の内容が真実なのかどうか?はそっちのけで、「インプレッションが稼げる投稿か?」が重視される情報が選ばれ、人目につきやすいように拡散されるようになってきているのです。 「話題になっているから」という基準で情報を探してしまうと、間違った情報に振り回され、SNSでダイエット情報を参考にすること自体が有害になってしまいます。自分が求めていない投稿でも「あなたへのオススメ」といって勝手に流れてきますよね。自分で情報にフィルターをかけられないと、自分の身を守れない時代なのです。 まずは、次に紹介する5つの特徴に注意しながら、SNSの情報リテラシーについて考えてみましょう。 ■①マジで痩せるからみんなもやってみて! 「私はこれで〇〇kg痩せたから、みんなもやってみて!」とテレビやSNSの切り取り動画を使って紹介する投稿です。「マジで」「ガチで」「鬼痩せ」「ヤバい」「本気で痩せたい人は」というバズワードを並べて、今日からやってみたくなるように誘います。 AIで生成された動画・画像も本物と区別のつかないクオリティになっているし、投稿者が本当にやっているわけでもない海外からの拾い動画を紹介しているケースも多々見受けられます。女性が腕や脚をパタパタしてる早送り動画をいくつも並べてるパターンが多いですね。 発信者本人は、実際にそのエクササイズをやったことがなくても、ソファで寝っ転がりながら指先でちゃちゃっと投稿できちゃう訳です。見渡す限り、この手の投稿に質のいい情報はほとんどないので、キーワードもアカウントも非表示にして良いでしょう。 ■②顔を出してないダイエットアカウント 自分もダイエッターだと見せかけて、「私もこれで痩せたよ、みんなもやってみて!一緒に頑張ろう!」とシェアやいいねを促す投稿です。①と同様、AIで画像生成していたり、海外からの拾い画だったり、誰かの投稿をシェアする傾向があります。自分でコンテンツを作り出すより、シェアする方が省エネでバズが期待できるからです。 プロフィール写真に女性の写真を使っているけど、顔はモザイクで隠されていることも多くあります。裏で運営している人はその女性でない可能性もありますよね。もちろん、本人がやってる場合もあるでしょう。しかし、今後も情報リテラシーをつけていきたいのであれば、素性の知れない人の情報を鵜呑みにするのは避ける習慣をつけた方がいいでしょう。 ■③商品を紹介するアカウント ①や②のように拾ってきた情報でバズったら、「優秀すぎ」という言葉と共に、ナイトブラ、骨盤矯正ベルト、スキンケア商品、ダイエットドリンク、ダイエットスリッパなどの紹介をします。商品を売ることが目的のバズりであり、あなたがダイエットで成果を出すかどうかは考慮されていません。非表示にしてもあなたが損することは一切ないアカウントでしょう。 ■④芸能人+キーワード 「石原さとみもやってる胸鎖乳突筋」「富永愛もやってる肩回し」「仲里依紗がやってた脚痩せ」などなど、女性の憧れの芸能人の名前やキーワードを組合せて注目を誘います。 おそらく、過去にどこかの番組で本人が言っていた一言を引っ張り出しているのでしょうが、本人から発信された内容ではない可能性もありますし、許可を取っていない可能性も大。芸能人がやっている方法がそのまま自分にも当てはまるとも限りませんので、キーワードで釣られないように気をつけましょう。 ■⑤ズボラ情報 「ズボラ」というキーワードは、誰でも出来る、努力なしで出来る、少しの労力で出来る、というニュアンスを伝えるためによく使われるバズワードです。 「ズボラ」が使われた投稿を分析してみると、簡潔にしすぎて誤解を招くような内容が多く、「詳細はよく理解していないけれど、話題になっているからという理由で飛びついちゃう人」をターゲットにしているようです。 こうしたダイエットの情報はSNSとの相性がよく、頻繁に使われますが、誤った知識で失敗を繰り返す原因になるので「ズボラ」は非表示にしても良さそうです。 ■消費活動のターゲット SNSは、暇つぶしでボンヤリ動画や投稿を見る場ではなくて、サービスや商品など物を売りたい人が広告のために情報を発信する場に変わってしまいました。利用する人は、消費活動のターゲットでしかありません。中には質のいい情報も紛れていますが、誤情報の多さから、専門知識がある人でない限りその良し悪しを見分けるのは困難になっています。以前から分かっていたことですが、ChatGPTが話題になったあたりからこの流れが加速したような気がしています…。 バズ目的の誤情報を避けながらSNSを利用したい人は、アルゴリズムの仕組みを逆に利用することもできます。特定の種類の投稿を非表示したり避けるようにしていると、オススメ投稿として表示される頻度が減るのです。 今回紹介した特徴のあるアカウントや投稿を見かけた場合は、積極的に非表示・ブロックしていくようにしましょう。そうした日々の小さな行動変容が、SNSとの関係性を見直し、情報リテラシーを高めることにつながります。 文/mikiko パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞
mikiko