連鎖破たん相次ぐテックコーポレーション、取引実態に疑問の声
取引を「まったく疑わなかった」
浮かび上がったスキームは異様にみえる。なぜ疑問を持たなかったのか。代表者は「当然、(テック社の)決算書や風評を調べ、購入先のホームページも確認した」と取引チェックをしていたという。 代表者は「コロナ禍で先が見通せないなか、5%は魅力的だった。入金もあり、実際に商流があったので取引している時はまったく疑わなかった」と語る。 5%を上乗せしている以上、この取引においてテック社は損失が発生する。それでも繰り返されたのは、単なる資金繰りを維持するためだったのか。 代表者は「(自身の調査で)架空発注がみつかり、詐欺的手法だったとわかった。被害者がまとまり、真相究明や経営陣の責任追求などをできればと思っている」と憤る。また、「(振り出された手形の)枚数は多く、割り引いていた金融機関も責任が重いのではないか。架空取引の手形を割り引き、利益をあげる行為は問題だ。(テック社が)不審な取引をしていると金融機関が気づけば、ここまで被害が広がらなかった」と述べた。 代表者はインタビューの最後に「破産管財人は(破産手続きにおける調査で)詐欺的取引がみつかれば、捜査機関に告発して徹底的に調べてほしい」と要望した。 TSRはテック社の破産管財人に取材を申し込んだが、「債権者集会まで個別の質問に答えることはできない」と回答している。 テック社の債権者集会は、7月19日に予定されている。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年5月30日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)