「近鉄ラブ」な人が多い?生駒駅「トンネルで大阪直結」要衝の求心力 奈良線・けいはんな線など4路線集結
■電車も人も集まってくる 駅の東西では奈良線とけいはんな線が並走して複々線のようになっているが、けいはんな線は給電にもう1本のレールを用いる第3軌条方式のため、上空に架線がないのが対照的。近鉄の特急車両から阪神、大阪メトロの車両まで多彩な顔ぶれがそろうのが同駅の特色だ。 高低差がある地形の駅周辺には大型施設が集まっていて、訪れる人でにぎわっている。北口の近鉄百貨店生駒店を中心とした「アントレいこま」や生駒駅前図書室も入る「ベルテラスいこま」、南口の「グリーンヒルいこま」のほか、アーケード商店街の「ぴっくり通り」はいずれも駅とペデストリアンデッキで直結している。
生駒駅の柳谷裕一駅長は利用者の特徴について「ベッドタウンのイメージがあるだけに、朝は大阪市内に通勤するために奈良線や生駒線からけいはんな線に乗り換える方が目立つ。奈良線は奈良方面へのインバウンド、生駒ケーブルは土日を中心に家族連れのお客さまといったように観光需要もある。生駒線は通勤通学に加え、近畿大学奈良病院への通院利用も目立つ」と説明する。 そのうえで「『アイ・ラブ・近鉄』という方がものすごく多い。とくに高齢者の方は『近鉄が生駒トンネルを掘ったおかげで都市ができた』という思いが強い」と指摘する。「地元企業にあいさつに行くと『ウチがあるのも、近鉄のおかげやで』とよう言われました」。
柳谷駅長は1987年入社。鶴橋駅での勤務を皮切りに大阪線の運転士、助役などを経て、2023年4月に生駒駅長となった。柳谷駅長自身も小学校低学年のころから2つ上のいとこが住む生駒をよく訪れていたという。当時と比べると「商業施設が増え、駅自体も周辺もがらっと変わって、何回も通った道がわからなくなった」という。 ■奈良方面への誘客の拠点 近鉄グループホールディングスと生駒市は2023年9月、「包括連携に関する協定」を締結。両者は「近鉄グループと生駒市とのつながり・歴史は長く、これまでも沿線の住宅開発を中心に様々な分野で連携・協力してきた」と強調。「今回の協定締結を機に、協力関係をより一層深め、人口減少や少子高齢化に伴う地域課題解決などさらに多様な分野で連携を進める」ことを決めた。
生駒は大阪市内へのアクセスが自慢だが、反対方向の近鉄奈良へも奈良線で平城宮跡歴史公園を横切りながら約15分。近鉄奈良は世界遺産の文化財が集まる奈良市中心部のエリアに近い。近鉄は大阪・関西万博に向けて会場アクセス手段である大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線から生駒を経由して、奈良方面へ誘客する方針。「奈良県内から万博を訪れる人にとっても間違いなく玄関口になる」(柳谷駅長)。生駒駅も万博の盛り上げに一役買うことになりそうだ。
橋村 季真 :東洋経済 記者