SF世界が現実に!?「三菱の無人戦闘機」は“脳みそ”搭載します 担当者を直撃したら「使い捨て」もありました
「戦闘機の三菱」が構想する無人機
2024年10月16日から18日にかけて東京ビッグサイトで開催された「国際航空宇宙展2024」で、三菱重工業は新しい軍用無人機のコンセプト模型を初公開しました。 【ココがキモ!】遠目からじゃわからない、機体下部にある「目と耳」(写真) 三菱重工業といえば日本有数の防衛企業であり、特に航空分野においては国内の戦闘機関連の事業を担当しており、F-15戦闘機ではライセンス生産、F-2戦闘機ではアメリカとの共同開発と生産、そして最新鋭のF-35Aステルス戦闘機では国内での最終組立を担当しています。 言うなれば「日の丸戦闘機の大黒柱」と形容できる同社が、これまでの事業とは異なる無人機のコンセプトを提案してきたことは、大変興味深いことだと筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は感じました。 出展された無人機の模型は2種類あります。ひとつは「戦闘支援無人機コンセプト」と呼ばれるもので、見た目はパイロットが座るコクピットを無くした戦闘機のような形をしています。胴体下部にはミサイルなどの武装が搭載できるウェポンベイらしきモノも確認できました。 もうひとつは「ARMDC-20X」という名前が付けられた無人機で、外見上は胴体が細長く巡航ミサイルのようなデザインをしていました。 これら無人機は外見だけでなく、その運用方法もまったく異なる機体だそうです。
低価格使い捨て型と高性能再利用型
三菱重工業の担当者によれば、これら無人機には明確な違いがあるといいます。 「『ARMDC-20X』はミサイル技術を転用した機体で、基本的にはミサイルのように使い捨て運用です。ただ、そのぶん大量生産して安く使うことを目標にしています。想定する運用手段は観測がメインで、有人機のセンサーの代わりです。名称の意味は『Affordable Rapid Prototype Missile Drone Concept』の頭文字で、和訳すると『早期に比較的安く提供できるミサイル技術をベースとした無人機のコンセプト』という意味になります」 「ARMDC-20X」の全長は5m程度で、展示された模型が実際の大きさになるそうです。胴体中央付近に小さな主翼があり、後方上部にはエンジン用の空気取り入れ口、後方にはエンジンノズルと外側に傾いた尾翼があります。また、先端下部にはセンサー窓らしき突起物があり、その形状はF-35「ライトニングII」戦闘機の機首下の電子光学センサーによく似ていました。 使い捨て前提のこの無人機の場合、損耗を無視して偵察を行い、場合によっては撃墜されることで敵の状況を知ることもできるでしょう。レーダーに見えにくいステルス性や、センサーの高性能化した現代の戦場では、この様な使い捨て無人機が戦いを有利に進めるための有効な手段となるのかもしれません。