有村架純と脚本家・岡田惠和が語るドラマ「さよならのつづき」での新たな挑戦
「自分が書くときにしんどい方の道を選ぶ」(岡田)
――途中は厳しいこともたくさんあるけれど、たどり着いたところはとても温かいものになっていて、そんなところも岡田さんらしい脚本なのかなと思いました。最後の着地点については、最初から決まっていたのでしょうか?
岡田:今回はある程度は決まっていたという感じですね。やっぱり書いていく中で役が育っていくということはあります。今回は、最初に設定ができあがったときから、全員きつい道を歩む役だなと思ってたんです。さえ子にしても、坂口さんが演じる成瀬にしても、中村ゆりさん演じるミキにしても。この3人はそれぞれ、答えの出ない厳しい選択をしなくてはいけないし、そういうドラマなんです。厳しいだけに、最終的にどんな選択をすれば気持ちよく終わらせられるかということが大事だったんですね。だから、途中は、それぞれがあんまり楽な方に行かないように、自分が書くときにしんどい方の道を選びました。そうすると演じる俳優の3人にとってもしんどいことになると思うけれど、これはそういうドラマなんだなと自分でも思いました。
――「しんどい方の道を選ぶ」という書き方は、普段はされないことなんですか?
岡田:そうですね。今回は3人ともに、誰も悪くないんだけど、なんでこんなにしんどいことになるんだろうということになっています。さえ子とミキのシーンを書いているときは、自分でも気分が重かったです。ここは勝負なんだという感じで。
――その「しんどい」ところから、結末に至るまではいかがでしたか?
岡田:2回目のさえ子とミキのシーンを書けたのでなんとかなりました。さえ子とミキは、ドラマの中で2回しか会わないんですけど、2人の俳優さんを信じたからこそ書けた感覚があって、うれしかったですね。
――有村さんは、演じてみていかがでしたか?
有村:私もさえ子とミキのシーンを演じるときにものすごく緊張がありました。このシーンの撮影が来ないでほしいと思ってたくらいでした。でも、今岡田さんのお話を聞いたら、自分がこのシーンしんどいなって思ってたとき、岡田さんもしんどいなって思いながら書いてたんだって分かりました。作品って、監督も脚本家さんも演者も、みんな闘ってできているんだなとも思いました。ミキの気持ちも分かるからこそ、自分がもしさえ子の立場だったら、「ごめんなさい」って言って身を引いてしまうと思うんですけど、でもさえ子も、自分の気持ちに誠実だからこそ、「なんで会っちゃいけないんですか」という気持ちをこぼしてしまう。そのセリフを言うときのさえ子の気持ちの強さが少し怖くて……。でも、ちゃんと説得力のあるものにしなきゃって思って演じていました。