【医師解説】元大関・朝潮が患っていた「小腸がん」の症状・原因・発症しやすい人の特徴とは?
大相撲の元大関、朝潮などの四股名で活躍した長岡末弘さんが、11月2日に逝去されました。67歳でした。横綱・朝青龍や大関・朝乃山らを育てたことでも知られています。 夫人の恵さんが、「昨年末頃から小腸癌の治療を続け、療養しておりましたが、11月2日に自宅にて息を引き取り永眠致しました。回復に向けてとても頑張っておりましたので、本当に残念です」と長岡さんが親方を務めた高砂部屋のHPにて明かしています。 そこで「小腸がん」の症状・原因・治療方法などについてご説明します。消化器にできるがんといえば食道がん・胃がん・大腸がんなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? 小腸がんは消化器系のがんの中では発生頻度が低く、希少がんに分類されます。お腹に不調を抱えている方や小腸がんについて気になる方は、ぜひ参考にしてください。 ※この記事はMedical DOCにて『「小腸がん」を発症すると現れる症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
小腸がんとはどんな病気?
編集部: 小腸がんとはどんな症状がみられる病気なのでしょうか? 中路先生: 小腸がんは消化器系のがんの中でも数%と発生頻度が低く、希少がんに分類されるがんです。初期には目立った自覚症状がほとんどなく、進行すると腹部膨満感・腹痛・悪心・食欲不振・食後の腹痛・貧血・潜血便・体重減少などがみられるようになります。 さらに、がんによって胆汁の出口がふさがれた場合には黄疸がみられることもあります。便秘や下痢が続く・排便時に痛みがある・食欲がない・倦怠感がひどいなどといった体調不良が続く場合には注意が必要です。
編集部: 小腸がんの原因はなんですか? 中路先生: 小腸がんの原因は、これまでのところはっきりとは分かっていません。リスク因子として知られているのは、潰瘍性大腸炎やクローン病などの自己免疫疾患です。 また、家族性大腸腺腫・リンチ症候群などの遺伝的な因子も小腸がんのリスクを高めるとされています。がん全体としては喫煙・過度の飲酒・食生活の乱れ・運動不足・体格による影響などによってがんのリスクが高まるとされるため、生活習慣にも注意が必要です。 編集部: 小腸がんにも色々なタイプがあると聞いたのですが… 中路先生: 小腸がんの種類には複数あります。組織型によって、神経内分泌腫瘍・腺がん・悪性リンパ腫・肉腫(GIST・平滑筋肉腫)などに分類されます。この中で一番頻度が多いとされているのが神経内分泌腫瘍であり、次に多いとされているのが腺がんです。 また、小腸は十二指腸・空腸・回腸の3つの部位に分かれており、どこの部位にできるかによっても呼ばれ方が異なります。小腸がんのうち、約45%が十二指腸にできる十二指腸がん・約35%が空腸にできる空腸がん・約20%が回腸にできる回腸がんです。 編集部: 小腸がんになりやすい人の特徴があれば教えてください。 中路先生: 小腸がんの中でも、腺がんはクローン病・潰瘍性大腸炎・ポリポーシス・吸収不良症候群などの持病のある場合はかかりやすい可能性があります。 また、遺伝性の病気で大腸がんなどを発症しやすいとされる家族性大腸腺腫症・リンチ症候群・ポイツイエガース症候群などの方も注意が必要です。 ただし、これらの持病があるからといって必ずしも小腸がんを発症するわけではないため過度に心配しすぎず、気になる症状がある場合には医師に相談しましょう。がん全般では喫煙・飲酒・生活習慣・感染・化学物質などががんの要因になりうるとされています。 正しい生活習慣を心掛けることで予防できる可能性もありますので、飲酒・喫煙・食事内容の見直しなどを行いましょう。