最高益決算の日本企業に影、想定超す円高がリスク-米中景気に不安も
(ブルームバーグ): 日本企業の4-6月期決算は純利益が過去最高を更新し、株式相場を下支えしている。しかし、足元の為替市場では日米金利差の縮小で想定を超える円高が進み、米国や中国経済の不透明感も業績の先行きに暗い影を落とす。
日本銀行の追加利上げに対する警戒や米国での景気後退懸念などから8月初旬に歴史的な暴落に見舞われた日本株。過去最大の下げ幅を記録した日経平均株価が持ち直す一因となったのは予想株価収益率(PER)の割安感だったが、企業業績に先行き不安が生じ、株式相場の新たな重しになる可能性が出てきた。
三井住友DSアセットマネジメントの木村忠央チーフファンドマネジャーは「ここまでの増益は円安で見栄えが良くなっていた面があった」と指摘。その効果が薄れれば利益の伸び率も鈍り、「日本企業は元気がないとの受け止めにつながりかねない」と言う。
ブルームバーグの集計では、TOPIX500構成企業の4-6月期純利益は前年同期比9%増の15兆円と過去最高を記録。同期間の円相場は対ドルで約12%下落し、7月初めには161円95銭と34年ぶりの安値を付けた。年始からの円安進行がグローバル企業の収益を押し上げたのは確かで、時価総額が国内最大のトヨタ自動車の決算資料によると、同四半期の営業利益で為替変動は3700億円のプラス要因だった。
円高転換でトヨタの業績岐路に、1Q営業利益は市場予想に届かず
その後、円は1月以来の一時141円台後半まで反発。JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストは、全体の2割程度の企業が想定為替レートを対ドルで150円以上としており、特に外需依存度の高い企業を中心に予想利益を達成するハードルが上がってきているとみる。
ブルームバーグのデータによると、TOPIX500企業の海外売上高比率は全体の45%程度。内視鏡など医療機器メーカーのオリンパスの今期(2025年3月期)のドルの想定レートは151円、総合化学の三菱ケミカルグループは150円だ。アナリストの推計では、1円の円高で日本企業全体の利益は0.4-0.6%程度減少する。