「簿記も何もわからないけど」55歳でNHKを退職した武田真一 夫婦で個人事務所を立ち上げた今「常々疑問に思ってた」
── 実際、経営をやってみていかがですか? 武田さん:おもしろいですよ。簿記も何もわからない状態でしたが、会計ソフトを使いながら、ネットで調べたり、知人に聞いたりしながら試行錯誤で取り組み、今ではバリバリこなせるようになりました(笑)。学校に行って教えてもらうのではなく、ああでもない、こうでもないと、壁にぶつかりながらやっていくことで、世の中の人が感じているものが「たしかな実感」として理解できるようになりました。
── すごいバイタリティです。言葉にもより説得力が生まれますね。 武田さん:定額減税の経理処理なんかも自分で計算しながら、「いちいちこれを打ち込まなきゃいけないのか。誰が考えたんだ!」と怒りがわいてきて。皆さんが怒っている理由が腑に落ちました。こうした一つひとつのことを身をもって経験していくことが、今の自分にとって、すごく大事なことだと思っているんです。 PROFILE 武田真一さん たけた・しんいち。1967年、熊本県生まれ。筑波大学卒業後、1990年にNHK入局。『ニュース7』『クローズアップ現代+』や『紅白歌合戦』の総合司会などを担当し、2023年2月に退局。フリーに転身後は、情報番組『DayDay.』(日本テレビ)のMCとして出演中。
取材・文/西尾英子 写真提供/武田真一
西尾英子