【速報】「私はもう許すことができなかった」 30代母親が外回転術めぐる医療過誤を「業務上過失傷害」容疑で刑事告訴 受理され捜査へ
■検証の結果「医療事故」と認める
宝君が産まれておよそ10カ月後、病院から第三者を交えて行われた検証作業の結果が届きました。そこには―。 (京都第一赤十字病院の報告書) 「本件の医療事故は、1回目の外回転術施行以後、胎児の状態の評価を誤った結果、2回目の施行をしてしまい、更には緊急帝王切開も遅れることとなって、宝様に少なくともより重い障害を発生させたというものと評価されました」 「医療事故」と明確に認める内容。 病院側は特に、A医師が2回目の外回転術に踏み切ったことを問題視し、病院内の体制にも問題があったとしました。 (京都第一赤十字病院の報告書) 「(A医師は)レベル4(注:胎児心拍数の波形レベルの分類。「レベル4」は緊急帝王切開などの準備や実施が必要)ではないと判断したとのことですが、この状態(注:1回目の外回転術後の状態)は、低酸素、児(胎児)が動いていないことが疑われ、胎児機能不全であり、その改善を待つことなく外回転術を行うべきではなかったし、あるいはここで2回目の外回転術そのものの中止を選択すべきではなかったかと考えられます」 (京都第一赤十字病院の報告書) 「A医師が1人の判断で外回転術を行っていたこと、これまで失敗例がないとされていたことから、A医師に任せきりになっていました」
■重い障害・・・それでも時折見せる笑顔が「宝物」
いま、3歳になった宝君は重い障害のために、自分の力では手足を動かせず、発話もできません。それでも、家族にだけ時折見せる笑顔が千鶴さんにとっては宝物だといいます。 (千鶴さん) 「夫は、宝が幸せだなと思う日々を作っていけたらいいんじゃないっていうのはずっと言ってくれてて。私もそうとは思うんですけど、やっぱり私の中では、夢でも息子がママって言って、走って、抱きついてくれるような夢を見たり。そういう人生を奪った担当医は本当許せないっていう気持ちでいっぱいです」
■警察が刑事告訴状を受理
16日、千鶴さんが代理人弁護士と提出した刑事告訴状が警察に受理されました。 被告訴人はA医師です。 (告訴状の一部) 「外回転術を施行した後、胎児が外回転術を行うべきではない容態となっており、外回転術の更なる施行を取り止める業務上の注意義務があったのにも関わらずこれを怠った」 「漫然と二度目の外回転術を施行して、胎児を低酸素虚血状態に陥れ、そのため速やかな遂娩(緊急帝王切開)の実行および新生児蘇生の準備をすべき業務上の注意義務があったのにも関わらずこれを怠り、その結果として、胎児に完治不能の新生児低酸素性虚血性脳症後脳性麻痺(四肢麻痺)、発達遅滞、てんかんなどの重篤な傷病を負わせ、もって母体である告訴人の身体の一部を傷害した」 千鶴さんは「今もなお担当医を許すことができなくて、なおかつ、また違う病院で平気で働いていることがもう本当に許せなくて・・・。息子の人生を奪ってしまったような医療過誤をしたのに、謝罪の言葉もなく、誠意も感じられなかった」と告訴に踏み切った思いを取材で明かしました。 京都第一赤十字病院は医療事故について「本件につきましては重く受け止め、再発防止に努めております」とコメントしています。