【速報】「私はもう許すことができなかった」 30代母親が外回転術めぐる医療過誤を「業務上過失傷害」容疑で刑事告訴 受理され捜査へ
京都市の京都第一赤十字病院で4年前起きた、逆子の胎児を回転させる「外回転術」をめぐって胎児に重い脳機能障害が残った医療過誤。30代の母親が提出した刑事告訴状が警察で受理され、当時の主治医らについて捜査が進められることになりました。 母親は刑事告訴に踏み切った理由として「息子の人生を奪ってしまったような医療過誤をしたのに、謝罪の言葉もなく、誠意も感じられず、私はもう許すことができなかった」と話しています。
■「僕は百発百中でいままでうまくいってきたから心配はないですよ」
(千鶴さん) 「(妊娠)7カ月ぐらいのときに逆子がわかって、そのときは家の近くの産婦人科を受診してたんですけど、ここでは逆子が治せないということで、京都第一赤十字で逆子を治す『外回転術』があるっていうのを初めて知って」 京都府内に住む千鶴さん。長男・宝君(現在3歳)の母親です。初めての子は経膣分娩で産みたいという思いが強く、2020年12月、逆子の胎児を母体のお腹の上から手で回す「外回転術」の施術を受けることになりました。 担当主治医は男性のA医師。千鶴さんが施術についての説明を受けたとき、A医師は、こう言ったそうです。 「僕は百発百中で、いままでうまくいってきたから心配はないですよ」 外回転術は、まれに胎盤の一部がはがれるなどの合併症が起きる場合があり、万一の時には緊急帝王切開ができる体制もとりながら行われるのが一般的です。千鶴さんも「何かあったときは胎児を取り出す」との説明も受け、一抹の不安を抱えながらも、施術に臨むことにしました。
■「外回転術後、心音低下あり」「胎児、ハイリスク状態」
しかし、1回目の外回転術を受けた時のことです。 (千鶴さん) 「結構長い間もうずっと手で無理矢理回す感じなので、それでもう、私が息ができなくなって、酸素マスクつけて欲しいって言って、酸素マスクつけてもらって、息子の心拍が多分落ちてたのか、ずっとアラーム鳴ってて」 アラーム音が鳴り響く中で、千鶴さんの不安は一層高まります。しかし、A医師は2回目の施術を続けて行いました。ABCテレビは、この2回目の施術後の看護記録を入手しました。そこには―。 (病院側の記録)「外回転術後、心音低下あり」「胎児、ハイリスク状態」 (千鶴さんの発言)「赤ちゃんは元気なんですか?」「赤ちゃんが元気に産まれてきてくれたらどこで産んでもいいです」 混乱した状況の中、千鶴さんは何度も緊急帝王切開をA医師に求めたと言います。しかし、A医師は拒みました。 (千鶴さん) 「ちょうどコロナ禍だったので面会もなしで、担当医に今すぐ帝王切開してほしいっていうときに、主人からも電話でお願いをしてもらってたんですけど、それでも『その選択肢はない』の一点張りで」 別の医師による帝王切開で宝君が産まれたのは、外回転術を終えて1日半も経ってからのことでした。お腹から取り出された宝君には、後頭部にあざのようなものがありました。後に脳の9割近くが損傷していたことがわかりました。 (千鶴さん) 「なぜあのとき帝王切開をしなかったのかが、いまでも本当にわからなくって、看護師さんも、35週だったかな、36週とかで生まれても、いまの医療だったら赤ちゃんがちっちゃくても大丈夫だから、お腹にいるよりも絶対に出した方がいいって、いろんな人から言われてたので。もう本人に聞きたいくらい」