「未富先老」待ったなし!中国の高齢化対策をウォッチャーが解説
ペットを飼うのは、結婚しない若い世代、子供を持たないカップル、かたや孤独感をまぎらわせようと考えるのか、高齢者の間でも、動物を持つ人が増えているという。「ペットが映し出す中国社会」と言ってよいのかもしれない。 経済専門紙らしく、ペットの話を紹介しながら、中国で少子・高齢化が加速すれば、マーケットとしての中国、投資先としての中国の今後が、不安視される――記事はそう締め括られていた。少子化に歯止めがかからないと、経済や社会保障を支える働き手が減る。税収が減る。そして年金を受ける方の高齢者は一方で増える――。日本と同じだ。 ■やっと手を付けた定年引き上げ これも最近のニュースだが、働く人の退職年齢が今後、段階的に引き上げられる。中国の定年はこれまで70年以上据え置かれてきた。これを来年から改定する。現行は原則として男性60歳、女性50歳の定年を徐々に延長し、15年後までに男性63歳、女性55歳にする。 これについては、やっと手を付けたという感じだ。社会主義国として「早く引退して、あとは年金生活」を望む考えは、今も根強い。ただ、高齢化がどんどん進み、労働人口が減る。追い立てられようにして、促される形で習近平政権が決断したのだろう。 こう見ると、改めて「一人っ子政策」の功罪を考え込んでしまう。中国が様々な分野で、高度な技術開発を進めるのは、国際的に中国が主導権を握るという目的だけではない。近い将来の働き手不足を補うためでもある。人口動態の視点からも、中国が今、迫られている課題、漢字4文字で表す「未富先老」。つまり「豊かになる前に、先に国が老いてしまう」事態に対応するため、そんな国家戦略も見えてくる。 ■◎飯田和郎(いいだ・かずお) 1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。
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