「未富先老」待ったなし!中国の高齢化対策をウォッチャーが解説
一方の高齢化率。これは、人口全体における65歳以上の人たちの割合だ。昨年末現在、中国の65歳以上の人口は約2億2000万人。高齢化率は15.4%。一方、日本の高齢化率は29.3%。ただ、中国はまだ日本の半分だ、と安堵してはいけない。長寿は進むのに、子供は減る――。統計では「地球上の全ての高齢者の4人に1人は中国人」だ。 急速な人口減少時代が目の前にある。国連が7月、世界の今後の人口推計を発表した。今の人口と約75年後、つまり2100年の人口を比較する内容だ。日本の人口は現在、1億2400万人だが、2100年には38%減り7700万人になる。一方、中国の人口は現在、14億967万人。これが2100年には6億3300万人になる。こちらは半分以下、約7億9000万人減る計算だ。 国連の推計では、中国の人口は75年後には、今の47%になってしまう――。「人口は国の力」という考え方はかつてあったが、「人口は急減し、高齢化率はどんどん上がる」。中国は人口規模が大きいだけに、深刻だ。 ■減り続ける子供、増え続けるペット 中国でも、子供をもうけない若いカップルが増えている。ライフスタイルの変化、それに経済的負担も大きい、というのは日本と同じだ。その結婚件数だが、今年上半期(1~6月)、中国の婚姻の数=役所に婚姻届を提出したカップルの数=は343万組。前年の同期比で約50万組減った。これは日本の厚労省に相当する中国民政省の統計だが、1年前に比べ、実に13%も結婚するカップルが減少したことが明らかになった。10年前に比べると、なんと半分に減っている。 習近平政権も、当然、対策を講じている。子供を3人までは産んでいいという政策に方針転換して間もないが、地方政府の中には独自の政策、つまり、子供を2人以上産んだら、その夫婦に奨励金を出す、といったケースも現れている。 ちょっと視点を変えてみたい。英国の経済新聞フィナンシャル・タイムズに8月3日「なるほど」と思う記事が載った。タイトルは「中国都市部で飼育されるペットの数は今年、乳幼児の数を上回る見込み」。つまり、「犬や猫に代表されるペットは増え続け、一方で、4歳未満の小さな子供はどんどん減り続け、今年ついに逆転されてしまう」という内容の記事だ。